現代では、多くのBtoB企業が様々なチャネルを通じて、マーケティング活動を実施しています。その一方で、リード獲得に苦戦していたり、有効なリードか獲得できなかったりしてお悩みの企業担当者も多いのが現状です。
BtoBマーケティングでは、適切な戦略に基づき、正しい優先順位でリード獲得施策を実行していくことが重要であり、成果にいち早く結びつけられます。
そこで、本記事では、リード獲得施策の種類だけでなく、どのようにリード獲得施策を実行していくべきか戦略設計の側面から解説していきます。
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BtoB企業におけるリード獲得とは
BtoB企業におけるリード獲得とは、有益なコンテンツと引き換えに見込み顧客の個人情報(氏名、電話番号、会社名、メールアドレスなど)を獲得する集客活動のことを指します。また、リードとは、自社サービスや製品に興味関心のある見込み顧客のことを指します。
BtoB企業にとって「顧客との接点を持つこと」がリードを獲得する主な目的となります。BtoB企業では、顧客の特性上、自社を認知してから受注に至るまでのリードタイムが長くなる傾向があります。その際、なにもアプローチを行わなければ忘れられてしまい、他の企業に見込み顧客が流れてしまう可能性があります。
そのため、定期的に有益な情報を発信するなど、顧客と接点を持ち続けつつ、最終的に受注につなげることが重要となるため、その対象となる顧客を集めるためリード獲得施策を実施します。
BtoB企業の代表的なリード獲得施策一覧
BtoB企業と相性の良いリード獲得施策は大きく10つ存在します。
- Web広告
- コンテンツSEO
- SNS
- ホワイトペーパー
- セミナー
- 比較サイト
- 展示会
- プレスリリース
- テレアポ
それぞれ順に解説していきます。
Web広告
Web広告は、検索結果やSNS上に、広告を配信し、ユーザーにアプローチすることでリード獲得につなげる手法です。
Web広告は、成果が出るまでの期間が短いことが大きな特徴です。一方で、様々な種類があり、広告を出稿する目的や自社ターゲットに合わせて適切な種類の広告を選ぶ必要があります。
広告の種類 | 概要 |
---|---|
リスティング広告 | ・Googleやyahoo!の検索結果に表示する広告 ・「比較・検討層」にアプローチが可能であり、商談につなげやすい |
SNS広告 | ・画像や動画などクリエイティブを活用した視覚的なアプローチが可能であり「認知」を獲得しやすい ・ユーザー情報に基づき、細かなターゲティングが可能 |
ディスプレイ広告 | ・Webサイトやアプリに出稿できる広告 ・画像や動画などクリエイティブを活用した視覚的なアプローチが可能であり「認知」を獲得しやすい |
純広告 | ・メディアの特定の広告枠を購入し出稿する広告 ・メディアを訪れた不特定多数のユーザーに表示され「認知」を獲得しやすい |
動画広告 | ・YoutubeやXなどのSNSに動画を表示できる広告 ・情報量の多さや音楽などが特徴であり、ユーザーの関心を惹きやすい |
Web広告は、リード獲得施策の中では、比較的成果が出るまでの期間が短い施策です。しかし、ターゲットとなるユーザーがどの媒体を使って情報収集しているのかを見極め、適切な媒体に広告を選択する必要があります。
コンテンツSEO
コンテンツSEOは、記事コンテンツを制作し、検索行動による流入獲得を狙っていく施策です。近年のSEOでは、記事の質が非常に重要であり、有益なコンテンツを通じて、優れたユーザー行動を促すことが検索上位を獲得するコツとなります。
とくに、BtoB領域では、情報の専門性や独自性を持つ記事コンテンツを制作することで、ユーザーに自社の知識やノウハウを認知してもらうことが重要です。
良いコンテンツを制作し、ユーザーに認知してもらうことで、製品やサービスを導入するタイミングで第一想起として商談の機会を獲得できる可能性が向上します。
「記事の作成方法が分からない」や「記事を作成しているが上位表示されない」のようなお悩みがあれば、下記を参考にしてみてください。
SNS
XやFacebook、InstagramなどのSNSを通じて、自社ノウハウや専門知識、業界知識などを発信していくことで、ユーザーとの接点を生み出す手法です。
SNSアカウントの作成や運用自体は、基本的に費用がかからないため、低コストでマーケティング施策を回していくことができるのが大きなメリットです。また、拡散性も高くバズることができれば、一気の多くのユーザーから認知を獲得できます。
一方で、無暗にSNSを運用するのではなく、自社がターゲットとする企業担当者がどのSNSを使用して、情報収集を行っているのかを調査したうえで、一番有効であるSNSを選定して運用していく必要があります。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、自社製品やサービスに関する情報や、業界分析、自社事例紹介、自社ノウハウなどのお役立ち情報をまとめた資料をユーザーに向けて展開する手法です。
オウンドメディアや比較サイトを活用し、顧客の個人情報(企業名、メールアドレス、氏名、電話番号)と引き換えに、お役立ち資料を届けます。
前述した通り、BtoBビジネスでが顧客の検討期間が長くなる傾向にあるため、専門知識や業界知識を提供し続け、見込み顧客とコミュニケーションを取り続けることが非常に重要であり、ホワイトペーパーはそのうえで大きな役割を果たします。
セミナー
セミナー施策もBtoB企業において有効な施策です。セミナー形式で、特定のテーマに関する専門情報を発信することで、ターゲットとなる企業担当者との接点を生み出せます。
セミナーには、オンラインで行うケースとオフラインで行うケースが存在し、オンラインセミナーの方が集客しやすい反面、商談化率はオフラインの方が高い傾向があります。一方で、オフラインセミナーの方が集客難易度は上がります。
そして、セミナー施策は大きく3つに分けられます。
- 自社セミナー
- 共催セミナー
- カンファレンス
それぞれ順に説明していきます。
自社セミナー
自社セミナー名前の通り、自社のみで実施するセミナーのことです。自社がターゲットとするユーザーが関心のあるテーマやトピックに関するセミナーを開催し、有効リードの獲得を狙います。
たとえば、デジタリフトのようなマーケティング支援業者であれば、「SEOの記事作成」や「コンテンツマーケティングの戦略設計」などのテーマでセミナーを実施し、企業のマーケティング担当者との接点を生み出しています。
自社セミナーの場合、自由度高く開催できるため、セミナーの参加状況などを分析したうえで、開催方法に関して柔軟に試行錯誤可能な点がメリットと言えます。
共催セミナー
共催セミナーとは、他社と2社以上が主体となって開催するセミナーのことです。
自社セミナーと比較して、複数社で集客を実施するため集客しやすく、一度に多くの情報が手に入るためユーザーの満足度も高いことが特徴です。一方で、開催するうえでのコミュニケーションコストや共催先と比較検討される可能性がある点はデメリットとも言えます。
共催セミナーを実施する際は、共催先がビジネス上で競合とならないか、共催先のビジネスの親和性はどうか、などの視点も含めて実施の可否を判断することも重要です。
カンファレンス
カンファレンスとは、100名規模以上の参加者が出席するイベントのことです。基本的には3社以上の企業で開催し、各企業で集客をかけるため、参加者も数百名規模になることも多いです。
一度に大量のリード獲得につながるため、大きな集客効果を見込めます。一方で、近年では集客数にノルマを設定され、未達成の場合は集客数に応じて、貰えるハウスリストが制限されるケースも増えてきています。
そのため、ある程度集客力のある企業であれば、非常に有効な施策である一方で、運用を始めたばかりで集客数を担保しにくい企業にとっては有効性が低くなってしまうでしょう。
比較サイト
比較サイトへの出稿も有効なリード獲得施策となります。集客媒体やユーザーの目に触れる面が増えるため、今までリーチできなかった新規リードの獲得にも繋がります。
比較サイトは大きく2つの種類があります。
- サービス資料ダウンロード型
- ホワイトペーパーダウンロード型
それぞれ順に解説していきます。
サービス資料ダウンロード型
サービス資料ダウンロード型は、比較サイト上に、自社製品やサービスに関する資料を掲載し、新規リードの獲得につなげる施策です。
ユーザーは、類似した製品・サービスを比較できるため自社の優位性を伝えることで、商談化にもつながりやすくなります。多くの比較サイトでは、口コミやレビューを投稿できるようになっているため、実際に使用しているユーザーから高評価を得ることで、信頼性の向上にもつながります。
ホワイトペーパーダウンロード型
ホワイトペーパーダウンロード型は、ホワイトペーパーを掲載し、ダウンロードを促すことでリード獲得につなげる施策です。
直接的に商談化することは少ないですが、ホワイトペーパーをダウンロードしたユーザーにアプローチすることで、商談を生み出すことが可能です。
また、比較サイト側で、新規公開した資料をプロモーションしてくれることもあり、その場合は普段は一度の多くの新規リードを獲得できることも少なくありません。ホワイトペーパーを作成する必要があるため、その作成工数は必要ですが、オウンドメディアだけでなく、比較サイトといったチャネルを増やせるのは大きなメリットです。
展示会
業界の展示会やイベントに出展し、自社製品やサービスについて理解を深めてもらうことでリード獲得につなげる施策です。
オフライン施策となるため、ユーザーと直接コミュニケーションが取れることが大きな利点です。有形商材であれば、商品の利点や特徴を身をもって感じてもらえる機会になりますし、無形商材であれば、専門知識の高さやサービス内容だけでなく、担当者の人柄も知ってもらえる機会となります。
Web施策と比べ、より深い関係構築ができるため、有効リードの獲得につながります。
ダイレクトメール
企業担当者が、ユーザーに対して直接郵便物を届けたり、メールなどのメッセージを送るマーケティング施策です。
ダイレクトメールに、返信用封筒を添えるなどの返信手段や特定のリンクを添付するなどユーザーがアクションを起こしやすいように工夫することも重要です。
定期的にダイレクトメールを送付することで、企業認知の獲得につながります。また、メールなどオンライン上の施策の場合、開封率やクリック数のような指標を計測することで、ユーザーの関心や動きを追いやすくなります。
プレスリリース
新製品やサービス、市場調査、実績などのお知らせをメディアを通じて、発信する手法です。メディアを活用し、プレスリリースを発信することで、業界関係者やターゲットとなるユーザーからの注目を集められます。
プレスリリースを公開する際は、単に情報を羅列するのではなく、自社製品やサービスの特徴、調査結果など一番伝えたい内容が分かるように、簡潔に示すようにしましょう。
プレスリリースを通じて、注目を集めることにより、問合せやリードの獲得につながりやすくなります。
テレアポ
架電を通じて、新規顧客の開拓を目指す活動のことを指します。
直接対話ができるため、企業の抱える課題や悩みを聞き出しやすいため、サービスを提供するうえで、コンサルティングのような個別最適が必要な業種のBtoB企業にとっては有効な施策です。
【BtoB向け】「コンテンツマーケティングでうまく成果が出せない」という方は合わせてご覧ください。⇒【リード数と商談数を増加させる】BtoBのコンテンツマーケティングの戦略設計手法を解説(無料)
BtoB企業が有効なリード獲得施策を選定するには戦略設計が重要
ここまで、BtoB企業のリード獲得手法について解説しました。しかし、無暗にリード獲得施策を回すだけでは、効率的にリード獲得することは難しいです。
BtoB企業がリード獲得し、商談につなげるためには、BtoBマーケティングにおける戦略設計が非常に重要です。そこで、BtoBマーケティングの戦略設計に重要な3つのポイントを解説します。
- ペルソナの設計
- カスタマージャーニーの設計
- KPI設計
ペルソナの設計
ペルソナ設計では、「どのような企業」の「どのような人」に向けてマーケティング施策を実行していくのかを明確にします。そうすることで、リードを獲得するためには「どのようなコンテンツ」を届けるべきかの解像度が高まります。
ペルソナを設計する際は、「企業」単位ではなく「担当者」レベルまで掘り下げて設計することが重要です。相手企業の担当者にも追うべき数字や目標があり、それらに紐づく悩みやニーズがあります。そのため、企業としてのニーズも重要ですが、担当者個人が、どのようなことに困っているのかも想像し、明確化することで、より有益なコンテンツを届けることが可能となります。
カスタマージャーニーの設計
カスタマージャーニーとは、ユーザーが自社製品やサービスを認知してから購買に至るまでの検討状況を可視化したものです。「行動」「心理状況」「接触するチャネル」「届けるコンテンツ」などを明確にし、どのような状態のユーザーにどのようなアプローチを行うのかを可視化できます。
そのため、カスタマージャーニーマップを作成することで、ユーザーの検討状況に合わせてアプローチの最適化を図れます。購買プロセスごとに、どのチャネルでどのコンテンツを届けていくべきか、どのような施策を実施すべきかを把握し、効率的なアプローチができる状態にしましょう。
KPI設計
KPIとは、KGI(売上や受注数など)を達成するために重要な役割を果たす指標のことです。BtoB領域では、リード獲得数や商談数、案件化数などがKPIとして扱われることが多いです。
KPIは、KGIに対する施策の進捗状況を定量的に観測するために、重要な役割を果たします。たとえば、KGIやKPI目標が未達成だった場合、どの指標を優先して改善すべきで、改善するためにはどのような施策を実行するべきなのかを見直すことができます。
一方で、KGIから逆算して設計されていなければ、マーケティング施策全体に大きな影響を及ぼします。たとえば、オウンドメディア運用において、本来は「売上の増加」が目的なのにもかかわらず、「コラムの検索順位」ばかり追っていても、成果までの最短距離は歩めません。
そのため、戦略設計においてKPI設計も非常に重要なポイントとなります。
リード獲得施策の優先度を決める際に確認するべきポイント
リード獲得施策を実施するうえで、どの施策を優先すべきかは企業によって異なります。そのため、自社の状況に合わせて最適な選択をしなければなりません。
そこで、リード獲得施策の優先度を見極めるために確認すべきポイントを3つ解説します。
- KPI設計から現状のボトルネックを見極める
- 受注確度の高い施策から実行をする
- リード獲得単価だけではなく最終的な受注単価を確認する
KPI設計から現状のボトルネックを見極める
設計したKPIを見直し、現状どの指標がボトルネックとなっているのかを明確にしましょう。
たとえば、「月間3案件の獲得」をKPI目標に置いているが、未達の状況の場合、獲得リード数や商談数に関する目標達成率の度合いによって打つべき施策も異なります。3案件獲得するために十分な商談数が組めていないのであれば「商談化率」もしくは「獲得リード数」を向上させる打ち手が必要だと考えられます。また、どの指標の改善に優先して着手すべきかは、KPI目標に対して、現状の指標ごとのパフォーマンスを見極め、どの指標を改善すべきなのかを定量的に分析していきましょう。
仮に、商談化率が求める水準に達しているのにもかかわらず、商談化率を向上させる施策を打っても、伸びしろが少なく、成果の向上にはつながりません。そのため、現状どの指標のパフォーマンスが悪く、どのくらいの改善見込みがあるのか、改善までの期間はどの暗いかなどを見極めて、ボトルネックを解消することで、いち早く成果の向上につながります。
受注確度の高い施策から実行をする
売上につながるユーザーにアプローチできる施策を優先して実施しましょう。潜在層のユーザーにアプローチすることも重要ですが、売上につながるまでに時間を要します。
仮に、潜在層向けのコンテンツしかない場合、せっかく確度の高いユーザーと接点を作れても、取りこぼしてしまう可能性が非常に高まります。そのため、機会損失をしないためにも受注確度の高い施策から実行しましょう。
受注確度の高い施策の例は以下です。
- 無料相談会・無料トライアルの開催
- 顕在層向けセミナー・ホワイトペーパーの展開
- インサイドセールスの設置
- 導入事例や活用ケースの紹介
- サービス資料・サービスページの作成、改善 など
まずは、上記のような施策を実施したうえで、潜在層へのアプローチを注力しましょう。
リード獲得単価だけではなく最終的な受注単価を確認する
リード獲得単価も重要ですが、受注単価も忘れずに意識しましょう。施策の優先度を決めるうえで、原価の存在も忘れてはいけません。
1受注当たりの売り上げが30万の場合に、いくら効果が見込めても1件あたりの受注単価が30万かかってしまっていては良い施策とは言えませんし、優先すべきではありません。
受注1件当たりの単価と施策のインパクトを踏まえたうえで、より利益を最大化できる施策を優先するようにしましょう。
獲得したリードを活かして商談数を増加させていくには
リードを獲得しても待っているだけでは、商談は生まれません。そのため、自社側からリードに対してアプローチしていく必要があります。リードに対するアプローチは大きく2つに分けることができます。
- インサイドセールスから5分以内にアプローチを行う
- 商談化しなかった顧客にナーチャリングを行う
それぞれ順に解説していきます。
インサイドセールスから5分以内にアプローチを行う
リードが発生してからアプローチまでの対応スピードは、成果に大きく影響します。実際に、リード発生から5分以内に架電することで、コネクトする確率が4倍も向上するというデータもあります。しかし、実際にリード発生から5分以内に架電できている企業は2割もいないのが現状です。そのため、競合企業よりも早くリードにアプローチすることで、商談につながる可能性も向上します。
商談化しなかった顧客にナーチャリングを行う
獲得したリードの多くは、すぐには商談につながりません。そのため、定期的に情報を発信し、顧客とコミュニケーションを取り続けておく必要があります。接点を持ち続けることで、製品やサービスの導入を検討するタイミングで自社のことを想起し、商談先の選択肢に入れてくれる可能性が上がります。
そのため、メルマガやウェビナー、ホワイトペーパーなどを通じてユーザーに対して情報を発信し続けることで、ユーザーの認知や早期を獲得しましょう。また、有益な情報を発信することで、自社の専門性を伝えることにもつながりイメージアップにも効果があるかもしれません。
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