SEOにおいてサイテーションの獲得が重要、という話を耳にしたことがあると思います。サイテーションとは、「引用」や「言及」という意味で、他サイトに自サイトの情報が取り上げられることを指します。
サイテーションの獲得は、SEO上被リンクの獲得と同様に重要な要素のひとつです。特に、高順位帯でのSEOでは確実に獲得しておいたほうが有利です。
この記事では、サイテーションの概要と、効果的な獲得方法について解説します。
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サイテーションとはリンクを伴わない引用や言及
サイテーションとは、自サイトを運用している会社の名前や連絡先、サイト名、ブランド名や商品名などが、他のサイト上で公開されることを指します。英語の「citation」を語源とし、直訳すると「引用」という意味になります。
後述しますが、被リンクとは違ってリンクを使用しない引用や言及が対象です。
下記はサイテーション獲得の例です。
- 比較サイト(記事)に自社のサービスが記載されている
- 自サイトの情報を登録できるサイトに情報を登録して公開する
- レビューサイトに自社サービスの情報が掲載される
他のサイトで引用や言及されること、というと他社に情報を記載してもらうことを想像しがちですが、こちらから能動的に別サイトで情報を登録、公開することもサイテーションの獲得になります。
特に、SNSを活用して自社のサービスページを公開すると、それがサイテーションの獲得になりますし、ユーザーが情報を拡散してくれればより多くのサイテーション獲得も期待できます。サイテーションが獲得できれば、その情報をたどって自サイトへ訪れるユーザーも増えるかもしれません。
サイテーションと被リンクは異なる
前述しましたが、サイテーションと被リンクの大きな違いはリンクの有無です。リンクを使用せずに自サイトの情報を引用、言及されるのは「サイテーション」、外部サイトからリンクされる場合は「被リンク」です。
「被リンク」は他社が運営しているサイトからリンクを貰う必要があるので、自分でコントロールしにくい要素です。しかし、サイテーションは引用や言及を行うのは自分でも構わないので、例で示した通り、自分で他サイトに情報登録してサイテーションの獲得につなげることもできます。
ある程度ですが、自分でコントロールできる点が最も大きな違いといえます。
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サイテーションの獲得でSEO効果あり
Googleが明言しているわけではありませんが、サイテーションの獲得は間接的にSEOに効果があると考えられます。
よく引用されるデータなのですでにご覧になった方もいるかもしれませんが、アメリカのマーケティング会社であるMozが公開した検証データが非常に参考になります。
ランダムに選ばれた6,000拠点を2つのグループに分け、各検索での表示を比較したデータです。
グループ分けの要素は以下です。
- Googleビジネスプロフィール、Facebook、Bing、Appleマップにビジネス情報を登録したグループ
- 上記4サイトに加えて10以上のサイトにビジネス情報を登録したグループ
それぞれの表示回数が示しているのは下記です。
- Direct Search = ビジネス名や住所などで直接検索された回数
- Indirect Search = サービス名やカテゴリー名などの関節検索された回数
- Maps View = Googleマップで表示された回数
- Search View = Google検索で表示された回数
いずれも登録サイトの多いグループはすべての検索で表示回数が伸びています。特に、Google検索での表示回数(表の一番右)が+91%と、大幅に増えているのがわかります。このことから、サイテーションの獲得が、SEOでも有利に働くことがわかります。
サイテーションに含まれる情報
サイテーションにはいくつか種類があり、言及されることで効果につながる要素が決まっています。サイテーション獲得のために覚えておきましょう。
会社名、店舗名、個人名などの固有の名称
まずは会社名や店舗名、個人名などの固有名詞です。サイト名なども該当します。これらの情報が他サイトで掲載されている場合はサイテーションとなります。
後述しますが、引用や言及されている固有名詞が正式のものではない、表記揺れしている状態だとSEO効果が失われる可能性があります。この場合、「正式名称」になるのはSEOの対象になるサイト内の情報が正規です。
正しい固有名詞をサイテーションとして掲載してもらうため、自サイトの情報は正規のものを必ず登録することはもちろん、他サイトやSNSに掲載する場合も必ず正しい名称を記載してください。
このため、会社名や店舗名などはユーザーが間違えにくい、極力わかりやすいものを選びましょう。また、「・」や「|」などが正式名称に付く、正式名称がアルファベットの場合など、自分で登録する際にこちら側も間違えやすいです。公開前に正式名称が記載されているかどうかは必ずチェックしてください。
住所、電話番号などの連絡先
会社名などに付随することが多い情報ですが、住所や電話番号などの連絡先に対する引用、言及もサイテーションになります。
会社名のみや店舗名のみだと、同名の会社、店舗が存在する場合にクローラーもユーザーも混乱してしまいます。極力固有名詞で差別化するべきですが、ユニークな情報として、所在地や電話番号などの情報がセットで記載してあればどの会社、店舗なのかを判断できます。
他サイトに情報を記載する場合などは、住所や電話番号などの連絡先情報も必ず正しいものを記載しましょう。
扱っているサービス名や商品名、ブランド名
サービス名や商品名、ブランド名などもサイテーションとして扱われます。
サービス名や商品名などの情報も、企業名や店舗名とセットで扱われることが多いです。企業名などとともにユーザーに拡散されることで、よりサイテーションを増やすことにつながる可能性もあります。
会社名などとは違って、商品やブランドに関する情報なので、拡散されることで商品の購入やサービスの導入を検討する人も増えるかもしれません。より購買に近い要素だといえます。
リンクではないURL
リンクされているURLは被リンクになりますが、リンクされていないURLテキストはサイテーション扱いになります。メディアによってはリンクできないものも存在し、こういった場合が該当します。
リンクが設置できるのであれば、SEO上被リンクの方が高いですが、もし設置できない場合でもサイテーション狙いでURLは記載しておくべきでしょう。
例によって、URLも記述ミスがあると検索エンジンが正しく認識できない場合があります。企業名などと同様ですが、URLも極力短く、わかりやすいものでの決定を心がけましょう。
ポジティブなサイテーション獲得を狙う
サイテーションの獲得は、ポジティブなサイテーションを獲得する場合と、ネガティブなサイテーションを獲得するケースが考えられますが、極力ポジティブなサイテーションを狙うべきです。当たり前ですが、ネガティブなサイテーションを見たユーザーはそのサイトやサービスを評価しません。
また、外部のサイトに掲載されたネガティブなサイテーションは削除にも大きな時間と労力がかかります。良いサービスの提供や、良いコンテンツの配信を行うことで、ポジティブなサイテーション獲得を狙いましょう。
サイテーションを獲得する方法
ここからは、サイテーションを獲得するための具体的な方法について解説します。
SNSを利用する
最も手軽でかつ効果が期待できるのは、SNSを利用した情報の発信です。自社の情報をプロフィールに設定し、自社サイトやサービスサイトのURLも合わせて掲載しましょう。
SNSによって仕様が異なりますが、もしリンクとして設定できるならリンクにしておきましょう。前述の通り、リンクではないURLしか掲載できない場合でも、サイテーションの獲得にはつながります。
商品やサービスのターゲットになる人達に向けて、継続的に有用な情報を発信し続けることで、情報が拡散してサイテーションの獲得につながる可能性があります。実際には気長に活動を続けないと大きく拡散されることは難しいですが、手軽に始められる施策のひとつなので、可能であれば継続的な運用をおすすめします。
実際、著名な方に投稿が目に止まり、拡散された結果サイトの順位が上昇した事例も複数確認されています。
GBP(Googleビジネスプロフィール)を利用する
Googleビジネスプロフィールの活用もサイテーションの獲得が期待できます。どちらかというと店舗運営している場合に使いやすい手法ですが、もし店舗運営を伴うサービスであれば必ず登録しておきましょう。
登録を行うと、検索結果のマップ枠(ローカルパック)に表示される可能性があります。サイテーションの獲得にも役立ちますが、ローカルSEO(MEO)にも効果的な施策です。
後述するNAP情報の統一に気をつけて、情報の登録を行いましょう。
プレスリリースを打つ
プレスリリースはサイト上に連絡先などの企業情報が載るのでサイテーションの獲得につながります。弊社でも活用していますが、サービスに関わるニュースや最新情報などがあれば積極的に利用しましょう。
また、プレスリリースを打つと他のメディアへの掲載や、SNSでの拡散も期待できる場合があります。
自サイトの情報を登録できるサービスを利用する
前述のプレスリリースも該当しますが、自社情報を登録できる外部サイトの活用がサイテーション活用に役立ちます。具体的には比較サイトやレビューサイト、まとめサイトなどの登録型のものが該当します。
扱っているサービスや商品によっては登録しにくいサイトの形態もありますが、活用できる場合は登録を検討しましょう。
また、レビューを伴うサイトの場合はネガティブなサイテーションにつながる場合もあるので、登録、運用には注意が必要です。ポジティブなサイテーションを獲得できるように、ユーザーにとって有益なサービスの運営が必要です。
構造化データを使って正しい情報を検索エンジンに伝える
構造化データマークアップを実装すると、検索エンジンはページ内の情報を正しく理解しやすくなります。検索エンジン(クローラー)はページ上に掲載されているテキストをただの文字列として理解します。構造化データではこのテキストは企業名、このテキストは住所、とクローラーがテキストの内容を理解しやすいように補助します。
せっかく外部サイトに自社の情報が載っても、クローラーが自サイトの情報と一致させられないのではサイテーションの獲得効果が落ちてしまいます。特に、会社情報のページなどは実装を行うべきです。
コードを書くにあたって、現在では情報を入力するだけで構造化データを出力してくれるツールもあります。
参考サイト:https://technicalseo.com/tools/schema-markup-generator/
こういったツールも活用しながら、構造化データマークアップを実装しましょう。
良質なコンテンツを作る
外部のサイトや人物が引用や言及を行うことがサイテーションになる以上、引用や言及をしたいと思ってもらえるような良いコンテンツを作って発信する必要があります。
信憑性のないコンテンツや、そもそもコンテンツの内容が薄い場合、ユーザーは引用や言及をしたいと思わないかもしれません。サイテーションの獲得だけが目的ではありませんが、発信する情報はユーザーが満足するような良質なコンテンツでなければなりません。
良いサービスを提供する
ユーザー間で良い口コミなどが拡散すれば、ポジティブなサイテーションの獲得につながります。良質なコンテンツとも連動しますが、サービスや商品もユーザの満足度の高いものを提供できなければなりません。
サイテーションからは少し外れますが、サービスや商品の知名度が上がると、それ自体がサイトの権威性や信頼につながりますし、指名検索での流入増加も期待できます。Google公式でもE-E-A-Tについて言及しており、サイトの権威性や信頼、指名キーワードでの流入獲得はSEO上有利に働きます。
NAP情報は統一する
SNSや外部サイトに情報を登録するときは、NAP情報を統一しましょう。NAP(ナップ)情報とは、Name(名前、ビジネス名)、Address(住所、所在地)、Phone(電話番号)の頭文字を取ったものです。
このNAP情報が統一されていないと、クローラーは取得した情報が一致できずに混乱してしまいます。クローラーが情報を一致させられずに混乱すると、サイテーションの効果がうまく得られない可能性があります。
NAP情報の統一は、しっかり行わないとSEO上マイナスの効果を生む場合があります。以前の実績としてですが、意図的に各メディアでNAP情報をバラけさせたところ、順位の下落を確認したケースがあります。順位の決定要因は複数あるので、100%これが要因だったとは言い切れませんが、こういうケースもあることはぜひ参考にしてください。
獲得しているサイテーションの調べ方
最後に、獲得したサイテーションを調べる方法を解説します。
Googleで特殊検索を使う
「site:」を使用した検索を活用して、知りたいキーワードがコンテンツ内に含まれているページを抽出できます。検索時に「”商品名やサービス名などの調べたいキーワード”-site:自サイトのURL」で入力されているURLを除いて調べたいキーワードが掲載されているサイトを抽出できます。
大まかにですが、この方法でサイテーションの獲得状況が調べられます。
Yahoo!リアルタイム検索を使う
X限定になりますが、Yahoo!リアルタイム検索で調べたい自社の商品名やサービス名を入力すると、X上で引用、言及されているポストが調べられます。X上でも確認できますが、こちらはログインなし、アカウントを持っていなくても情報が得られます。
残念ながらXのみしか確認できないので、他のSNS関連を調べたいときには、該当サービスのアカウントとログインが必須になります。
また、今回は細かく言及しませんが、有料のツールの中には各種SNSの運用、分析を一括でできるツールも存在します。SNSの運用をメインの活動に行うのであれば、こういったツールの導入も検討してみましょう。
まとめ
サイテーションはリンクを伴わない、外部サイトでの情報の引用や言及を指し、間接的にSEOで有利になる効果があります。自ら外部サイトに登録して情報を発信するものもサイテーションに含まれるので、被リンクと比べると施策を行う側で制御しやすいです。サイテーションの獲得だけで1位を狙えるほど強力な効果ではありませんが、SEOは相対評価なので特に検索上位での戦いでは差がつきやすいです。
サイテーションの獲得方法についても解説しましたが、もし現在行っていない施策などがあれば、上位表示のためにぜひ運用を検討してください。
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