新たな経営スタイル?社長と取締役が二回り離れた「歳の差経営」のリアル
デジタリフトの代表取締役、百本正博は49歳。一方、No.2で取締役の鹿熊亮甫は26歳。二回り近く歳が離れている2人ですが、経営する上で衝突やギャップはないのでしょうか?歳の差経営のリアルについて赤裸々に語ってもらいました。
デジタリフトの代表取締役、百本正博は49歳。一方、No.2で取締役の鹿熊亮甫は26歳。二回り近く歳が離れている2人ですが、経営する上で衝突やギャップはないのでしょうか?歳の差経営のリアルについて赤裸々に語ってもらいました。
うちは仲間内で始めた会社ではなく、基本的に僕が一人で始めた会社。経営パートナーがいない状況で始めて、全部自分でやらなくてはいけない状況からのスタートでした。そんな中で、鹿熊が参画してくれて。年齢は確かに若いんですけど、業務のスキルだけでなくマネジメント力も兼ね備えていたので、半年ごとに役職が上がり、昨年12月には取締役になってもらいました。
鹿熊:学生時代にインターンしていたところのツテで、新規事業を百本と一緒にやることになったのが出会いでしたね。
百本:一緒に仕事をすると、その人のパフォーマンスって分かるじゃないですか。鹿熊は、足りないものはすぐにリカバリーするし、セルフラーニングがめちゃくちゃ早かったんです。僕らみたいなベンチャーは予測不可能な状況が往々にしてありますが、それらを受け入れた上で、鹿熊は具体的に何をするべきかを考え実行することができた。非常に魅力的な存在だったので、「うちにおいでよ」と誘いました。
鹿熊:正直にいうと、こんなに長く働くとは思っていなかったです(笑)。
百本:今の時代は1年や2年単位で就職先を見るのが当たり前だからそれはそうだと思うよ。だからこそ、鹿熊に対してはどんどん辞めにくい条件で攻めていきました(笑)。
鹿熊:戦略通りになりましたね(笑)。当初は1、2年ぐらいしたら、自分の会社をやろうと思っていたんです。少人数である程度ちゃんと会社が回って、収益が出ていれば良いかなぐらいの構想で。
でも、デジタリフトで働くうちに、人数が多いことによるレバレッジの価値を感じるようになったんです。取締役に就任したころは社員数が40人ぐらいで、40人分のレバレッジが効く環境でした。このレバレッジを生かして仕事ができる経験はなかなかないと思うんですよね。このレバレッジを活かしてどこまで会社に貢献できるのか。どこまでメンバーのみんなやステークホルダーの皆様に還元ができるのか。その事に真剣に向き合う決意で役員を引き受けさせていただきました。
百本:鹿熊を経営陣に入れようと思ったのは、マインドセットが合致したことが一番の理由です。鹿熊はできない理由を並べたてるのではなく、どうするのかを考えらえる人で、僕の考えと合致することが多い。僕がやっていた仕事も、鹿熊には安心して任せられました。
鹿熊:少しこそばゆいですけど、そう思っていただけるのは嬉しいですね。
ジョインした頃は、百本が抱えている仕事は大量だったので、そこをいかに巻き取れるかが勝負だなと思っていました。コンサルティングでもマネジメントでも、なるべく負担を軽くするにはどうしたらいいのか、いつも考えながらやっていました。
百本:ありがとう!!(笑)
鹿熊:逆にいうと、僕がトライすることに対して、百本はネガティブなことを言わないからこそ、やれたのだとも思います。人によっては「ここは俺の領域だからやるな!」という人はいるかもしれないけれど、僕を信用してくれていたし、僕のやることを基本的に否定しないでいてくれた。だから、うまくいったのかなと思います。
百本:もともと僕もある程度現場にいたので、そこで起こりやすい問題は当然ながら分かっていました。そんな中で、問題意識、解決策、スピード感など、鹿熊は非常に感覚が近かった。だから、歳は二回り離れていますけど、仕事がやりづらいと思ったことは、全くないですね。
……あ、でも会社の納会でカラオケに行ったときは、僕は見つめるだけの2時間でしたね。ポケモンに歌があるんだ、しかも締めで歌うんだみたいな(笑)。
鹿熊:(笑)。年齢差によって仕事に支障をきたしたことは、本当にないですよね。
年齢差のメリットをあげるとすると、百本の年齢が上であることによって、社内でも社外でも安定したイメージがあることは大きいと思います。
たとえば僕と、もう一人の経営者が20代だったら、若いイケイケなベンチャーのイメージになったと思うんですけど、百本がいることによって、大人な組織の側面を見せれるし、大人な取引ができるんですよね。
百本:デジタルマーケティングの世界は、技術がどんどん新しくなっていくじゃないですか。そうすると、若い子の方が知っている。最初からその役割分担をイメージできていたわけではないのですが、そういう部分を鹿熊が担っていると思うんです。
鹿熊:確かに、若者だからこそ分かる考え方や、やり方もありますよね。それはマーケティングでも、マネジメントでも、採用においてもそうなのかもしれない。新しいものが出てきているから、すばやくキャッチアップして対応領域を広げられている点はいいところですね。
百本:うん。お互いの年代やバックボーンは違うけれど、仕事に対する考え方の合致があるので、それぞれの重なっていない部分をお互いが利用し合うことができていると思います。
百本:鹿熊はプレーヤーとしてのスキルもあったんですが、マネージャーとしてのスキルも兼ね備えていた。それは学生時代にいろいろやっていたからかもしれないね。
鹿熊:そうですね。40人ぐらいの規模のイベント団体の代表をやっていて、毎週定例会をやったり、組織をマネジメントしたり。そこで経験していたことは社会人になってからも活かせているのかもしれないです。
百本:鹿熊は、優秀な若手にありがちな「周囲からムカつかれる」ことがないタイプです。それは極力気をつけているからというのもあるのでしょうが、30代後半~40代の社員たちともうまくやっている。
鹿熊:百本が要所要所で援護射撃してくれるからですよ。それで僕ものびのびできる部分はあります。
百本:若いメンバーからしても、鹿熊は人事の方針の象徴となっています。「年齢、入社時期、性別は関係ない」という話をいつもするんですけど、鹿熊の存在によって、「確かにそうだな」と思ってもらえる。実力をつけて、実績を残して、愚直にやっていくことでちゃんと評価されるんだと。
鹿熊:そもそも23歳も離れている経営陣が誕生することって、確率的にかなり低いと思うんですよ。普通ベンチャーは仲間内で始めるじゃないですか。こういうケースになることって滅多にないです。
百本:それに年齢差のある経営陣の場合、意外と若い人の役割が限定的なケースが多いしね。
鹿熊:同世代メンバーで起業するのか、年齢差のあるメンバーで起業するのか。どちらの方がビジネスは加速度的になると思いますか?
百本:指数関数的な成長でいうと同年代で起業、リスク回避型だと年齢差があったほうがいいという簡単なイメージはできるね。実態がどうかは置いといて。
まぁほんとうに爆発的に伸びたいときは、年代で区切るよりも、超優秀なメンバー5人ぐらいで圧倒的に仕事をするほうがいいかもしれない。お互いを優秀と認めやすく、価値観が共有しやすいというところに、もしかしたら無意識レベルで年齢の限界値があるのかもしれない。
鹿熊:なるほど。百本と一緒に仕事してきたことで、自分の年齢的な対応幅は間違いなく広がっています。年齢対応幅がひろがったおかげで学べることはありますよね。みんながみんな事細かには教えてくれないし、背中で見せてくれることも少ない。そういう意味でやはり、過去の経験値を存分に生かしている百本を目の前で見れている環境は貴重ですし、プラスしかないですね。
百本:鹿熊は知識の習得率が高くて、伝えたことがほぼインストールされています。このままいけば30歳になるころには、50代のビジネスマンぐらいの雰囲気を持ちながら仕事ができるんじゃないかな。そういった期待も含めて今後の鹿熊もすごく楽しみです。
今後も年齢等関係なく、実力のあるメンバーが正当に評価され、活躍できる組織にしていきたいと思います。