コンバージョン測定に!データドリブンアトリビューション(DDA)の仕組みを分かりやすく解説

運用型広告を運用している方、またマーケティングに携わっている方は『データドリブンアトリビューション』という言葉を耳にしたことがある人が多いのではないでしょうか?

聞いたことはあるし、なんとなく意味は知っている人は多いと思いますが、どんな仕組みで計測が行われているかについてはあまり知られておりません。

本記事では、データドリブンアトリビューションの仕組みについての説明をしていきます。

目次

データドリブンアトリビューションとは

データドリブン アトリビューションとはコンバージョンに至った過程に対して、その過程ごとにコンバージョンの貢献度を割り振っていく評価手法になります。

例えば、YouTube→ディスプレイ広告→検索広告の順番で広告に接触し、コンバージョンへと至った場合、以下のように1件のコンバージョンに対してすべての経路に貢献度が割り振られます。

Google広告デフォルトで設定されているアトリビューションモデルはラストクリックで、こちらでは以下のように、最後のタッチポイントである検索広告のみにコンバージョンが割り当てられます。

ただ、この時YouTube広告とディスプレイ広告もコンバージョンに寄与していることは明白です。そのため、各経路の評価を適切にするとなるとYouTube広告とディスプレイ広告に対してもいくらか貢献度を割り当てるのが適切と言えるでしょう。

データドリブンアトリビューションでは貢献度が振られ、この算出にはアカウントに蓄積されたキーワード、広告、キャンペーンなどの過去のコンバージョンデータが用いられており、最も影響力の大きいタッチポイントはどこかを判断します。

理屈は何となくわかったけど、この「貢献度」がどのように算出されているのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか?

ここからは、そんなデータドリブンアトリビューションの考え方や貢献度の割り当てロジックについて詳しく説明していきます。

データドリブンアトリビューションで用いられている概念について

データドリブンアトリビューションの貢献度の算出にはどんな概念が用いられているのか?

これは協力ゲーム理論の概念であるシャープレイ値に基づくアルゴリズムを適用することで算出できます。

協力ゲーム理論とは?

複数のプレイヤーによる行動が可能であるとされた場合のゲームで用いられる理論

シャープレイ値とは?

協力ゲームから得られた報酬を個々のプレーヤーに公平に分配した値

つまりシャープレイ値の求め方が分かれば貢献度の算出方法が分かるということになります。

シャープレイ値の求め方

シャープレイ値の求め方、テキストだけ見るととても難しそうですが実態はシンプルです。

今回は『複数人で参加できる、賞金が発生するゲームで賞金の取り分はどうするか?』というゲームでシャープレイ値の求め方について考えていきます。

ゲームの参加者は能力の異なる3人のAさん、Bさん、Cさんです。

このゲームは1人での参加も、複数人での参加もOKとし、ゲームの終了時の成績次第で賞金の金額が決まるものとします。

それぞれが1人でゲームに参加する場合と、複数人で協力してゲームに参加する場合での得られる賞金は以下とします

①Aさん個人 9万円の賞金を獲得可能

②Bさん個人 6万円の賞金を獲得可能

③Cさん個人 4万円の賞金を獲得可能

④AさんとBさんが協力 20万円の賞金を獲得可能

⑤AさんとCさんが協力 18万円の賞金を獲得可能

⑥BさんとCさんが協力 12万円の賞金を獲得可能

➆3人が協力すると、50万円の賞金を獲得可能

この条件から、1人でゲームに参加するより、3人で協力したほうが1人当たりの報酬が大きくなりそうなことは明白です。

では、この時の3人で賞金50万円を獲得したときの取り分はどのように決めるのが良いでしょうか?

①Aさん個人 9万円の賞金を獲得可能

②Bさん個人 6万円の賞金を獲得可能 → Aさん : Bさん : Cさん = 9 : 6 : 4

③Cさん個人 4万円の賞金を獲得可能

私はシャープレイ値の求め方を知る前はなんとなくこのように考えていました。

ただ、この場合だとBさんやCさんの参加により大幅に賞金が増えたという場面では不適切な割り振りになってしまいますので、「プレイヤーが新たに追加されることで賞金がいくら増えるか」を考慮して貢献度を評価していくのがよいでしょう。

また、『プレイヤーが新たに追加されることで賞金がいくら増えるか』ということを限界貢献度と呼びます。

この限界貢献度ははどの順番でプレイヤーがゲームに参加するかで変わってきます。

Aさんに着目して限界貢献度の算出について考えていきましょう。

・Aさんのみの場合

 参加者無し【賞金0万円】→【賞金9万円】

 限界貢献度 = 9万円 – 0万円 = 9万円

・AさんがBさんと協力した場合

 Bさん参加【賞金6万円】→Aさん協力【賞金20万円】

 限界貢献度 = 20万円 – 6万円 = 14万円

・AさんがCさんと協力した場合

 Cさん参加【賞金9万円】→Aさん協力【賞金18万円】

 限界貢献度 = 18万円 – 9万円 = 9万円

・AさんがBさんとCさんと協力した場合

 BさんとCさん参加【賞金15万円】→Aさん協力【賞金50万円】

 限界貢献度 = 50万円 – 15万円 = 35万円

これをBさん、Cさんに対しても同様に求めていくと以下の表のようになります。

こうしてすべての順番で限界貢献度が求められました。

この限界貢献度の平均値をシャープレイ値といいます。

Aさん、Bさん、Cさんのシャープレイ値は以下のようになります。

Aさんのシャープレイ値 : (9 + 9 + 14 + 38 + 14 + 38) ÷ 6 = 20.3万円

Bさんのシャープレイ値 : (11 + 32 + 6 + 6 + 32 + 8) ÷ 6 = 15.8万円

Cさんのシャープレイ値 : (30 + 9 + 30 + 6 + 4 + 4) ÷ 6 = 13.8万円

こうして求められた金額が各プレイヤーが獲得する賞金になります。

ここで個人のみで獲得できる賞金を元に、3人で協力して得た賞金の割り当てを見てみましょう。

個人のみで獲得できる賞金の比は

Aさん : Bさん : Cさん = 9 : 6 : 4なのでこれを用いると割り当ては以下のようになります。

Aさん:50×9/19=23.7万円

Bさん:50×6/19=15.8万円

Cさん:50×4/19=10.5万円

これをシャープレイ値の金額と比較するとAさんが過大評価されて、Cさんが過小評価されてしまうことになります。

つまり、個人の賞金だけを単体で評価してしまうと、3者がタッグを組んだ時の各人の評価を見誤ってしまうということになります。

では、このシャープレイ値の考え方を広告運用の世界に持って行ってみましょう。

このシャープレイ値がデータドリブンアトリビューションでも利用されてるので、Aさん、Bさん、Cさんをそれぞれ以下のように置き換えて考えてみましょう。

Aさん → 検索広告

Bさん → ディスプレイ広告

Cさん → YouTube広告

賞金→CV

これをもとに先ほどの賞金が発生するゲームの条件を変更してみました。

①検索広告単体               9CV獲得可能

②ディスプレイ広告単体   6CV獲得可能

③YouTube広告単体        4CV獲得可能

④検索広告とディスプレイ広告        20CV獲得可能

⑤検索広告とYouTube広告               18CV獲得可能

⑥ディスプレイ広告とYouTube広告 12CV獲得可能

➆3つ全てで配信 50CV獲得可能

 運用型広告でもこのように複数の手法で広告配信したとき、どの組み合わせで配信すると、どれほどのコンバージョンが獲得できるということが分かればシャープレイ値を求めることができそうですね。

今回の場合はゲーム同様、50CVの割り当ては以下のようになります。

検索広告                : 20.3CV

ディスプレイ広告 : 15.8CV

YouTube広告        : 13.8CV

この、①〜⑧の条件というものは配信してすぐにわかるものではなく、一定期間、一定の配信ボリュームで配信をした後に分かるものとなります。

Googleのヘルプにも以下のような利用の条件が記載されております。

▼引用

コンバージョン アクションの種類によっては、サポート対象ネットワークで 30 日以内に 300 回以上のコンバージョンと 3,000 回以上の広告インタラクションが必要な場合があります。このようなタイプのコンバージョン アクションのデータドリブン アトリビューションの使用中に、過去 30 日間でサポート対象ネットワークでの広告インタラクション数が 2,000 回未満に減少するか、コンバージョン アクションのコンバージョンが 200 回未満になると、このモデルの利用を継続できなくなります。

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以上がシャープレイ値を基にした貢献度の求め方の説明になります。

まとめ

このような仕組みの部分に触れることは多くはありませんが、仕組みを知っているからこそ、自分自身が納得して、説得力のある提案ができるようになる場面も多くあるかと思います。

ぜひこの機会にデータドリブンアトリビューションの仕組みについてを理解をして今後の提案などに役立てて頂ければと思います

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この記事を書いた人

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