BtoBのペルソナ設計マニュアル|CVするメディアを設計する最重要項目

BtoBマーケティングのペルソナ設計

マーケティングにおいて、ペルソナ設計は戦略設計の第1歩といえます。ペルソナがはっきり固まらない状態でマーケティング施策を打っても、なかなか売上につながらず、コストだけかかってしまう可能性があります。特にBtoB業界においては、購買行動の複雑化や、BtoCと比較した場合に意思決定に関わる人物が多いことから、ペルソナを設計する難易度はより高くなります。

「ペルソナの設計が重要」というのは、最近では日常的に聞くトピックかもしれませんが、いざ設計に着手するとなると、具体的な手法がわからず、思うように進まないということも多いと思います。

この記事では、BtoBマーケティングにおけるペルソナ設計のポイントや手法を解説します。

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目次

ペルソナとは

ペルソナとは、自社製品を購入、導入すると考えられるターゲットを「具体的な人物像」まで落とし込んだものを指します。実際に存在する人物像をイメージして、年齢や居住区、職業、年収などの細かな情報を設定していきます。

ペルソナを設定すると、顧客目線でマーケティングを展開でき、顧客にどのような情報を提供するべきかを可視化できます。

ペルソナを作るメリット

ペルソナを作るメリットはさまざまありますが、主なものとしては顧客理解が深まることと、事業に関わる人物感で共通認識を持てること、施策の方針が定まりやすいことなどが挙げられます。

それぞれ詳しく解説します。

顧客の解像度が上がる

後述しますが、ペルソナを設計する際には、必ず今持っている顧客情報や、お客様の声を集めて分析します。ユーザのニーズや実際のお客様の声に触れることで、より顧客理解が深まります。

どんなマーケティングの施策を打つ場合でも、成果に直結するのは圧倒的な顧客理解です。これはメディアを設計する場合でも同様です。施策を立案するうえで、顧客理解は必ず役に立ちます。

メンバー間で共通認識を持てる

マーケティングに関わる人物は、マーケティング担当1人だけではありません。マーケティングを扱うチームはもちろん、セールスやデザイナー、時には外部パートナーも関わることも少なくありません。

しっかり設計されたペルソナ像が共通のものとして存在しない状態だと、マーケティングに関わる人物ごとの理解でそれぞれ進んでしまい、施策の方針もバラバラになってしまいます。

ターゲットになるペルソナがしっかり設定されていれば、どんな集客チャネルが有効なのか、どんなキーワードを狙うべきか、どんなコンテンツが必要なのか、複数の人物がいても認識のブレがない状態で施策を進められます。

施策の方針を定めやすい

多くの施策は、適切な人に適切な情報を届けることが理想ですが、この「適切な人」にあたるペルソナを設計すると、マーケティング施策を打つ際に方針を定めやすくなります。

また、マーケティング施策やメディアの設計だけではなく、例えば製品開発を行う際にも、作成したペルソナは役に立ちます。

製品開発においても、マーケティングにおいても、ペルソナがしっかり定まっていれば、ズレたものを展開することはなく、時間やコストのムダを省くことにもつながります。

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ペルソナで設定するべき項目

ペルソナを設計する際に設定するべき項目として、デモグラフィックとサイコグラフィックがあります。

デモグラフィックとは定量的なデータ

デモグラフィックとは、特定の人物に対する定量的なデータで、年齢や年収などのデータを指します。主に下記のようなデータです。

  • 年齢
  • 性別
  • 職業
  • 年収
  • 居住地 など

デモグラフィックは定量的なデータなので分析がしやすく、データもWeb上で探しやすいです。しかし、デモグラフィックだけでは製品を購入、導入するターゲットを絞り込むにとどまることが多く、なぜ購入、導入するのか?といったより踏み込んだ顧客像を描く際には、サイコグラフィックも重要になります。

サイコグラフィックとは定性的なデータ

サイコグラフィックとは、特定の人物が持つ趣味や嗜好などの、定量的には表せないデータのことです。サイコグラフィックに該当する主な項目は下記になります。

  • ライフスタイル
  • 行動
  • 価値観
  • 個性
  • 性格
  • 嗜好
  • 感情

サイコグラフィックはデモグラフィックとは違って定量的ではないので、データの取得が少し難しいです。もっとも確実なのは顧客にインタビューを行うことです。また、確実性は少し落ちてしまいますが、自社サイトのデータを活用して、どのメディア経由でCVしているかなどのデータからある程度推測を立てることも可能です。

BtoBマーケティングでペルソナ設計が重要な理由

前述の通り、マーケティング活動においてペルソナの設計はとても重要な役割を果たします。ペルソナをしっかりと定めることで、顧客に対してどのような情報を渡さなければならないのかが明確になります。

  • どのような集客施策を行うべきかが明らかになるから
  • どのようなコンテンツを提供するべきかが明確になるから
  • 何を訴求するべきかが明確になるから

どのような集客施策を行うべきかが明らかになるから

ペルソナを設計することで、どのような集客施策を行うべきかが明確になります。顧客にどんなニーズがあり、どんな課題を解決するためにどんな行動を取るのか、がわかっていないと当てずっぽうな施策になってしまうからです。

当たり前の話ですが、Instagramをあまり使わないペルソナに対してInstagram運用や広告運用を頑張ってもそれほど効果は上がらないでしょう。普段どんなメディアを利用していて、という仮説と、できれば裏付けがあれば無駄な施策を打たなくて済みます。

また、SEOやリスティング広告においても、ペルソナが定まっていれば、どのようなキーワードを狙ってコンテンツや広告を作成するべきかが定まりやすいですし、よくありがちな流入だけ増えてCVが増えない、といった自体を防ぐ手立てにもなります。

どのようなコンテンツを提供するべきかが明確になるから

ペルソナ設計を行うことで、顧客に対してどんなコンテンツを提供するべきかが定まります。

ありがちなのは、自社の伝えたいことをコンテンツに落とし込んでしまい、ユーザーの共感を得られないパターンです。本来コンテンツはユーザーの求める情報を与えることや、ユーザーの課題を解決することを目的にしなければなりません。自社の伝えたいこととユーザーの欲しい情報に乖離があると、その情報はユーザーに刺さるものにはなりにくいです。

こういったギャップを埋めるためにも、事前にペルソナ設計を行うことが重要です。

何を訴求するべきかが明確になるから

ペルソナ設計を行うと、顧客に対して何を訴求するべきかが明らかになります。

自社の伝えたいことを優先して「このサービスの強みは〇〇です」と訴求しても、実際に売り上げにつながるコアなユーザーに対しては伝わりにくい可能性があります。

前述のコンテンツと同じですが、ペルソナをしっかりと考え、訴求すべきポイントの乖離を埋めたうえで、どのような訴求をするべきかを事前に準備する必要があります。

有効な訴求が考えられれば、広告文やLP、SEO記事など、顧客とのあらゆるタッチポイントに対して、最適な企画案が作成できます。

BtoBマーケティングでペルソナを設計するポイント

BtoBマーケティングのペルソナを設計するポイントは、大きく分けて下記の3つです。

  • 売りに近い「重要な見込み客」をペルソナとする
  • 想像ではなくデータに基づいてペルソナを設計する
  • 平均値ではなく具体値を意識して設計する

売りに近い「重要な見込み客」をペルソナとする

ペルソナを設計する際には、売りに近い「重要な見込み客」をペルソナとしましょう。検索をするユーザーは下記の3層に分かれており、重要な見込み客までペルソナを深掘りすることで、集客と売上を直結させられます。

抜粋:セッションと比例してCV数を増加させる戦略設計!70ページのスライドで詳しく解説!より

売りの見込みから遠いユーザーをペルソナと設定してしまうと、さまざまな手法で集客をしたとしても、売りから遠いユーザーを多く集客することになってしまいます。そうなると、各施策がうまくいって集客が増えたとしても、CV数が増えないという結果になってしまいます。

そのため、ペルソナを設計する際には、売りにつながる「重要な見込み客」まで深掘りをする必要があります。

想像ではなくデータに基づいてペルソナを設計する

ペルソナを設計する際には、想像ではなく調査やデータに基づいて設計をすることが重要です。実際のデータではなく自分のイメージのみで作成をしてしまうと、精度の低いペルソナとなる可能性が高くなってしまいます。

ペルソナは売りに近い人物像を設定する必要がありますが、SFAやCRMに保存されている既存の情報、外部の調査データや情報などがなければ、どんなユーザーが売りに近いのかを特定することは難しいです。つまり、データに基づかないペルソナは、設計したエビデンスがなく、自社の都合のよいペルソナとなる可能性が非常に高くなります。

そのため、ペルソナを設計する際には、想像ではなくデータに基づいて設計をしていきましょう。

平均値ではなく具体値を意識して設計する

ペルソナを設計する際には、平均値ではなく具体値を意識して設計に取り組むことが重要になります。冒頭でも紹介したように、ペルソナは「自社製品のターゲットを具体的な人物像まで落とし込んだもの」を指します。そのため、より具体値に近い情報が必須です。

もし、平均値をとってしまうとペルソナがぼやけてしまい、解像度の低いものとなってしまいます。また、人によって平均の取り方が変わってしまうので、ペルソナがずれてしまう可能性も高いと言えるでしょう。

そのため、ペルソナを設計する際には、平均値ではなく具体値をとっていくことが重要です。

ペルソナ設計は企業ペルソナと個人ペルソナの両方を作る

特にBtoBの場合は、企業のペルソナと個人のペルソナの両方を作成しましょう。製品を導入する顧客となるのは企業になるからです。

企業ペルソナも個人と同様に定量的なデータである「ファーモグラフィックデータ」を集めます。具体的には下記のような情報です。

  • 企業名
  • 業種
  • 扱っている商材
  • 売上の規模
  • 従業員数
  • 社風
  • 業界内でのポジション など

合わせて、企業として抱えている課題やニーズも設定しておくと良いでしょう。

個人ペルソナに関しては前述のもので対応可能ですが、BtoBの場合は意思決定にさまざまな立場の人物が関わるので、ここを設定しましょう。

  • 担当部署
  • 役職
  • 経歴
  • 決裁権の有無
  • 現在担当している業務
  • 業務上の目標
  • 自身、部署の問題 など

などです。

BtoBマーケティングでペルソナを設計する手法

ここからは、実際にペルソナを設計するための手法を解説します。

persona_design_method

ステップ1:既存の情報を活用してデータを集める

まずは、今持っている情報をデータとして集めましょう。日々の活動から、いくらかの情報はすでに集まっているはずです。

受注分析や失注分析を行う

既存の商談データがあれば、そこから受注分析や失注分析を行いましょう。

受注した案件はどのような業界で企業規模はどのくらいか、それによって解約率に差があるかどうか、といったデータを良く比較してみましょう。

LTVが高い顧客はどのような条件かを明らかにすれば、売りにつながるペルソナを明らかにする材料になります。

営業パーソンにインタビューをする

実際に商談を担当している営業パーソンにインタビューを行いましょう。

聞くべき情報は、受注、失注につながった要因や、どのように自社商材を活用しているかなどです。ただし、顧客に直接聞くわけではないので、実際の情報とはいくらか乖離がある場合があります。あまり鵜呑みにしすぎずに、必要に応じて商談に同席するなどしてより情報の解像度を上げましょう。

既存顧客、見込み顧客にインタビューする

営業パーソンにインタビューを行い、仮の想定ペルソナを作ったら、実際に顧客へインタビューを行いましょう。これは既存顧客だけではなく、まだ自社製品を導入していない見込み顧客へも実施します。

インタビューではなぜ製品を導入したのか、または導入を検討しているのかを中心に、現在先方の社内ではどんな課題を持っているかなどを深堀りし、より深層の課題を発見するようにヒアリングすると良いでしょう。

ステップ2:既存の情報がない場合外部からデータを集める

たとえば新規事業で始めたばかりの状態など、既存の情報がない場合には、外部からデータを集める必要があります。

「外部のデータ」というと抽象的ですが、具体的には自社製品と同業界の業界紙、ホワイトペーパー、競合サイトの情報、競合製品の口コミ情報、などが該当します。

自社の既存情報を活用する際と同じように、外部から得たデータを活用して、ペルソナを考えてみましょう。

ステップ3:データに基づいてペルソナを複数パターン設計する

集めたデータを活用しつつ、実際のペルソナ像を設計していきます。

ペルソナは1つだけ決め打ちで作成するのではなく、必ず複数パターン用意してください。特にBtoBの場合は、購買プロセスの中で、さまざまな人物が関わってくるので、実際に情報に触れる人物像は多岐にわたります。弊社でも、ペルソナ設計の支援を行う場合は最低3パターンは作成しています。商材や業界によって最適な数は異なりますが、商材を検討すると考えられる人から遠ざからないのであればサブのペルソナとしてパターンを作っておくのも手です。

ステップ4:検証や肉付けを繰り返しながら精度を向上させる

ペルソナは1度作ったら終わりではありません。引き続きデータを集めながら、より商材とマッチするペルソナ像を目指して改変し、精度を向上させます。CRMやSFAを導入してデータを一元管理する、マーケ担当者が定期的に商談同席するなど、顧客との接点は変わらずに持ち続けましょう。

また、商材によっては時間の経過によって顧客のニーズも変わってくるかもしれません。こういった事態に対応するためにも、定期的なデータ取得とペルソナの改善は続けて行うべきです。

ペルソナを設計したあとに行うべきこと

最後に、ペルソナを設計したあとに行うべきことを3つ解説します。できればペルソナとセットで用意しておくと良いでしょう。

カスタマージャーニーの設計

カスタマージャーニーとは、顧客がどのように製品の情報に触れ、実際に導入するまでの顧客の感情や行動を時系列で可視化したものです。

下記は弊社で作成した簡易サンプルです。

とくにBtoB向け商材はリードタイムが長い傾向があるので、作成したカスタマージャーニーに従って、各フェーズで適切な顧客との接点を持たなければなりません。

ペルソナと同じくらい重要なものなので、せっかくペルソナを作ったならカスタマージャーニーも作成して、ペルソナと合わせて定期的に見直し、最適化を図りましょう。

特に、メディア設計の場合、どのフェーズでメディアの情報に触れるかを明らかにしておくと、ユーザーに対してどんなコンテンツを届けるべきかが明確になります。

カスタマージャーニーについては別記事で詳しく解説しています。

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ペルソナから逆算したキーワード選定

ペルソナを設計しておくと、広告やSEOでキーワード選定を行う際にキーワードの方向性を決めやすくなります。初期にしっかりとペルソナを設計してからキーワードを選定しないと、仮に順位が上がったり、セッションが増えたりしてもCVにつながらない可能性があります。

ペルソナを設計したら、そのペルソナが悩みそうなポイントなどを考え、抱えている課題から逆算してキーワードを選定しましょう。メディアを運営するにあたって、キーワード選定は必須の作業です。

バリュープロポジションの設計

バリュープロポジションとは、「顧客に対して自社が提供できて競合他社が提供できない独自の価値」を指します。

バリュープロポジションを設計すると、顧客の課題に対する提供価値を明確にできるので、顧客の課題に対して適切に訴求ができ、顧客に選ばれる製品やマーケティング施策を打てるようになります。

ペルソナの設計で顧客側の分析がしっかりできていても、自社側の分析がしっかりできていないために、顧客のニーズからズレた施策を実施してしまうことも多々あるため、できればペルソナとセットでの設計をおすすめします。

まとめ

マーケティング施策にはさまざまな手法がありますが、前提の戦略がしっかり立てられていないとコンバージョンや売上につながらないのは、ほぼすべての施策に共通することです。

特にBtoBの場合は、意思決定に関わる人物が多く、購買プロセスも複雑化しているため、より綿密に戦略を立てる必要があります。その入口となるペルソナ設計は、マーケティング活動を行ううえで必須の対応項目といえるでしょう。

ペルソナ設計はまず作ることが大事で、すぐに100%のものが作れるわけではありません。この記事で解説した手法を元に、まずはペルソナを作ってみて、継続的にデータ収集を行って精度をより高めてください。

当社ではペルソナやカスタマージャーニーなどの戦略設計フェーズからご支援させていただくケースも増えてきております。Web集客を行いたいが何から着手すればよいかわからない、やり方がわからないなどのお悩みの方はぜひお気軽にお声がけください。

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この記事を書いた人

株式会社デジタリフト所属|SEOとコンテンツマーケティングを担当|コンテンツマーケティングとSEOをこよなく愛するコンテンツ女子|最近の流行りはリライトで爆伸びさせること|美人が多いで噂の博多出身|Twitterアカウントはこちら