「自社でもリスティング広告の運用を始めていきたい」そう考えている企業は多いのではないでしょうか?
リスティング広告はユーザーが検索したキーワードに合わせて広告出稿できるため、自社の商品・サービスに興味を持つユーザーを効率的に集客できます。
この記事では、リスティング広告の費用相場や予算の決め方などを詳しく解説します。
この記事を読めば「リスティング広告に必要な費用と費用対効果を高めるためのポイント」が分かります。
また、リスティング広告の全体像をつかみたいという方は「【初心者必見】リスティング広告とは?仕組みから運用方法まで解説」をご覧ください。
リスティング広告の費用を決める仕組み
リスティング広告の費用を決める仕組みには「オークション制」と「クリック課金制」の2つの仕組みで決まります。
それぞれの仕組みについて解説します。
オークション制
リスティング広告では「クリック単価」と「広告の品質」を判断基準に、オークション形式で掲載順位を決定します。
クリック単価とは「広告1クリックあたりに支払う費用」のことです。
広告出稿を行う際は、最大で支払えるクリック単価の上限金額を設定し、その金額が競合よりも高ければ掲載順位が上がります。
クリック単価は競合が多いキーワードほど高騰するため、有名なキーワードで掲載順位を上げるには、ある程度のまとまった予算が必要です。
クリック課金制
広告の表示に対してではなく、ユーザーが広告をクリックするごとに費用が発生することを「クリック課金制」といいます。PPC(Pay Per Click)とも呼ばれ、リスティング広告では「クリック課金制」が採用されています。
クリック単価は出稿するキーワードによって異なるため「Googleキーワードプランナー」などで概算を調べながら予算額を検討しましょう。
リスティング広告の費用はどれくらいなのか?
「実際にどのくらいの費用感なのか?」気になっている方は多いことでしょう。
リスティング広告の費用相場や予算の決め方について解説します。
リスティング広告費用の相場
前提としてリスティング広告の費用相場は、広告を出稿する商品・サービスによってそれぞれ異なります。
一般的には月20〜50万円程度といわれており、リスティング広告に注力している大手企業の場合は月数千万~数億円にまでのぼります。
しかし、月に数十万円の予算がなければ、リスティング広告を出稿できないわけではありません。
個人事業者や小規模な企業の場合だと、月1万円程度の1日数百円でリスティング広告を出稿しているケースも多くあります。
最低金額はないので目標から決める
前述したようにリスティング広告の費用には「少なくとも数十万円は必要」などの最低金額はありません。
自社の都合に合わせて予算額を自由に決められます。
リスティング広告ではキーワード以外にも出稿する時間帯やユーザーの性別、年齢層などの属性を細かく設定可能です。
そのため、自社で獲得したいターゲット層や成果などの目標から予算額を決めることをおすすめします。
リスティング広告の予算の決め方を紹介
リスティング広告の予算は、自社の都合に合わせて自由に設定できます。
具体的なリスティング広告の予算の決め方について解説します。
目標CV数から決める
商品購入やサービス加入など、日単位や月単位で「獲得したい目標CV数」を基準に予算を決めます。
例えば月に50件のCV数を目標に、CPA(CV1件にかける広告費)を2,000円とする場合、下記の式から予算は10万円となります。
CV数:50件 × CPA:2,000円 = 100,000円(予算額)
目標CPAから決める
目標CPAを算出し、逆算して予算を決めることも可能です。
CPAは広告出稿する商品・サービスの「販売価格」から「目標の利益額」を差し引くことで算出できます。
例えば1個10,000円の商品から6,000円の利益を目標とする場合、下記の式から目標CPAは4,000円となります。
10,000円(販売価格) − 6,000円(目標の利益額) = 4,000円(目標CPA)
あとは獲得したいCV数に目標CPAをかけることで、予算を算出できます。CV数を30件とした場合の式は下記です。
30件(獲得したいCV数) × 4,000円(目標CPA) = 120,000円(予算額)
平均クリック単価から決める
広告出稿するキーワードの平均クリック単価から決める方法もあります。
平均クリック単価については「Googleキーワードプランナー」などを利用することで確認可能です。
「平均クリック単価」に「クリック数」をかけることで予算を算出します。
例えば平均クリック単価が1,000円で想定されるクリック数が200回だった場合は、下記のような式で予算は20万円となります。
1,000円(平均クリック単価) × 200回(想定されるクリック数) = 200,000円(予算額)
売上目標から決める
売上目標から予算を決定しても良いでしょう。
「広告費は売上額の何%にするか?」を決めることで予算を算出できます。
例えば売上目標を100万円とし、売上額の15%を広告費とした場合、下記のような式となって予算額は15万円です。
1,000,000円(売上目標) × 15%(売上額のなかの広告費の割合) = 150,000円(予算額)
撤退ラインを決めておく
「ここまで来たら出稿を抑える・停止する」といった撤退ラインを事前に決めておくことも1つの方法です。
撤退ラインの判断基準には、先ほど紹介した目標CPAが主に使われます。
例えば出稿をスタートしたものの、目標CPAが達成できない進捗状況が続いている場合には、入札額の抑制や出稿停止などの撤退を検討しましょう。
検討するタイミングは「予算の消化状況」や「出稿してからの経過日数」などがあります。
リスティング広告の費用対効果を高めるためには?
リスティング広告を出稿するなら「できる限り高い成果を出したい」と考える方も多いことでしょう。
ここでは費用対効果を高めるためのポイントを8点紹介します。
広告ランクを向上させる
広告ランクを向上させることは、費用対効果を高めることにつながります。
広告ランクはリスティング広告の掲載順位に大きく関わっており、ランクが上がることで低いクリック単価でも上位に表示させられるからです。
掲載順位が上位になることで広告の表示回数、クリック率などが上昇しやすくなります。
広告ランクを向上させるには「入札単価」と「品質スコア」を上げることが必要です。
入札単価は設定する金額を変更するだけで上げることが可能なため、特に重要になるのは品質スコアの改善になります。
品質スコアは「キーワードと広告の関連性」や「ランディングページの利便性」などの観点から10段階で評価されます。
入札単価を上げるだけでも広告ランクは向上しますが、1クリックあたりの費用が増えてしまい、費用対効果を高めることにあまりつながりません。
最小限のクリック単価で上位表示を狙うためにも、ユーザーにとって使いやすいサイト構成や、有益な情報を記載することを心がけましょう。
除外キーワードの設定
現在出稿しているキーワードをチェックして、成果に結びつかないキーワードを除外キーワードに設定しましょう。
除外キーワードは部分一致やフレーズ一致の検索クエリ内に多く含まれています。
例えば自社で運営する英会話サービスの加入を増やすために、リスティング広告を運用しているとします。
その場合「英会話サービス 求人」や「近くの英会話教室」などのキーワードは、英会話サービスに関連するものの、サービス加入につながりにくいキーワードです。
そのため除外キーワードに設定することで、成果につながらない無駄なクリックが省けます。
余計な広告費が削れることで費用対効果が高まるため、定期的にキーワードのチェックを行いましょう。
顕在層へのアプローチを優先的に行う
リスティング広告は顕在層へのアプローチを得意としています。
なぜなら、検索エンジンの検索結果画面に広告を掲載できるため、購入意思が明確にあるユーザーに対して効率良く広告を出稿できるからです。
そのためリスティング広告では、顕在層のユーザーを意識した広告文、ランディングページを優先して作成することが費用対効果を高めるポイントになります。
キーワードを自ら入力し検索している能動的なユーザーにアプローチできるため、コンバージョンにつながる確率が高いです。
顕在層だけでなく潜在層へのアプローチも行いたい場合は、ディスプレイ広告などを利用しましょう。
マッチタイプの設定
マッチタイプとは「完全一致」「部分一致」「フレーズ一致」のキーワード設定のことです。
費用対効果を高めるためには、マッチタイプを有効活用することが重要になります。
具体的には下記のような流れでキーワードを登録していくことで、費用対効果を高めながら広告出稿を広げることが可能です。
1.「部分一致」を使用して幅広いキーワードでの集客を行う。
2.その後、広告を配信した検索クエリの中から、コンバージョンにつながりそうなキーワードをピックアップする。
3.ピックアップしたキーワードを「完全一致」や「フレーズ一致」に設定して出稿する。
ピックアップしたキーワードは基本「フレーズ一致」で作成し、1万以上の検索ボリュームを目安に「完全一致」で作成しましょう。
ある程度の運用ノウハウが溜まってくると、キーワードの判断力が上がり、精度の高いピックアップができるようになります。
配信対象を絞っていく
リスティング広告ではユーザーの年齢や性別、住んでいる地域など、配信対象を設定することが可能です。
配信対象を絞ることで、費用対効果の高いユーザー層だけに広告費を使えます。
例えば「女性向けの商品」や「40代以降をターゲットとしたサービス」であれば、配信対象を絞ることで狙ったターゲット層のみに広告を配信することが可能です。
曜日や時間帯の制限もできるため、運用していくなかでより質の高いユーザー層だけに配信を絞れます。
最初は配信対象を絞り過ぎずに広くスタートし、徐々に狭く絞っていきましょう。
ランディングページの最適化
広告をクリックしたあとのランディングページがユーザーにとって魅力あるものでなければ、どれだけ広告のクリック率を高めても高い成果は出せません。
費用対効果を高めるには、ランディングページの最適化を行いましょう。
具体的には、ランディングページが「広告の訴求内容とマッチしているか?」を確認し、記載するコンテンツを修正します。広告のクリック率は高いが、コンバージョンにつながっていない場合には、ランディングページに改善点があります。
既存の修正だけでなく、訴求したい内容に合わせてランディングページを新規作成することも有効です。
そのため出稿するキーワードや訴求する広告文によって、LPを複数パターン作成しておくと効率的に最適化ができます。
指名キーワードを出稿
指名キーワードでの出稿を行うことも、費用対効果を高めるポイントです。
指名キーワードとは、企業名や商品・サービス名などの名称を指します。
知名度が低ければ表示回数は少なくなってしまいますが、自社に対する関心が強いユーザーを集客できることが特徴です。
そのため、高い費用対効果を期待できます。
広告出稿する際には、指名キーワードから優先して出稿を行い、徐々にビッグキーワードなどの表示回数の多いキーワードに配信を広げていきましょう。
代理店に相談する
試行錯誤の結果、自社運用で費用対効果の改善が困難な際は、代理店に相談することも1つの方法です。
広告運用のプロである代理店に相談することで、最適な改善策を提案してくれます。
しかし相談した際のカウンセリング代や、そのまま運用を代行してもらう場合は手数料などの費用が別途必要です。
ですが自社内で改善のPDCAを回すよりも高いコストパフォーマンスが期待できるため、積極的に相談を検討しましょう。
また、「リスティング広告のでより成果を出していきたいという方」は、下記も合わせてご覧ください。よくある設定ミス9つの事例からリスティング広告の改善に取り組むポイントを解説しております。
リスティング広告は成果が出てきたら増額も検討していく
リスティング広告経由のサービス加入・商品購入が増え、徐々に成果が出てきたら、予算の増額も検討していきましょう。
予算の増額に比例して、より成果を伸ばすことが期待できるからです。
増額の判断には、目標CPAを基準に検討することがおすすめです。
CPAを目安にすることで、獲得が好調な良いタイミングで予算を増額できます。
例えば現状のCPAが目標CPAを下回っている場合、1件に対してかかる広告費が少ないため、効率良くCVを獲得できている状態と言えます。
このタイミングで予算を増額して出稿ボリュームを伸ばすことは、CV数をさらに伸ばせる可能性が高いです。
CPAの低い、費用対効果を合わせた運用も魅力的ですが、必要以上に予算を抑えた運用はCV獲得の機会損失につながります。状況によって予算を大きく増額することも、リスティング広告で高い成果を出す1つの方法です。
リスティング広告を代理店に依頼するか自社運用するかどちらがいい?
リスティング広告の出稿を検討している方のなかには、運用を「代理店に依頼する」か「自社内で運用する」か迷われている方も多いことでしょう。
それぞれのメリット・デメリットや費用面、「どの場合は代理店に依頼した方が良いのか?」などについて解説します。
代理店と自社運用のメリット・デメリット
代理店と自社運用のそれぞれにあるメリット・デメリットをまとめました。
メリット
代理店
・社内リソースを使わずに広告を運用できる
・豊富なノウハウで最適な設定、分析をしてもらえる
自社運用
・少額の費用から出稿をスタートできる
・広告運用ノウハウが社内に蓄積される
デメリット
代理店
・手数料などの必要なコストが増える
・あとから自社運用にシフトすることが難しい
自社運用
・思うような成果が得られない可能性がある
・行き詰まったときに相談できる相手がいない
代理店の場合は、最新の情報を押さえた豊富なノウハウから最適な広告設定、数値分析を行ってくれることが魅力です。
広告運用に関するすべての業務を行ってくれるため、社内で割けるリソースが無くても安定した運用ができます。
しかし、代理店に支払う手数料などが発生することから、ある程度まとまった予算が必要になります。
また社内にノウハウが蓄積されないため、あとから自社運用へシフトすることが難しいです。
自社運用では代理店に依頼する際の手数料や広告費の条件がないため、自社の都合に合わせた金額で出稿をスタートできます。
ですが運用経験が豊富な代理店と比べて、高い成果を出す可能性が低いことや、解決できない問題に直面した際に相談できる人がいないことがデメリットです。
代理店と自社運用の費用の比較
自社運用の場合は発生する費用は「広告費」のみですが、代理店に依頼する際には下記の費用が必要になります。
・広告費・初期費用(5万円程度)
・運用手数料(広告費の20%程度)
アカウントの作成、初期設定などで5万円程度かかる「初期費用」や、運用代行代として広告費の20%程度を毎月支払う「運用手数料」があります。
支払う金額は代理店によってそれぞれ異なるため、代理店を選ぶ際のポイントの1つです。
また、代理店によっては広告費の最低出稿金額を設けている場合があります。
30万円程度を設定している代理店が多いですが、こちらも代理店によって金額が異なるため、事前に必ず確認を行いましょう。
予算がまだ少額の場合は、自社運用を検討するのもおすすめです。
広告費ボリュームが大きくなるまでは自社運用で行い、ある程度の大きな広告費規模になったタイミングで代理店に依頼する方法もあります。
代理店に依頼をした方がいい場合はどんな時か
代理店にリスティング広告の運用を依頼した方がいい場合には、下記のようなケースがあります。
・自社内に広告運用経験がある人がいない
・社内リソースに余裕がないため、広告運用に人員を割けない
・運用したい予算額の規模が大きい
・なるべく最短で高い成果を出したい
たとえ社内リソースに余裕があっても、リスティング広告の運用経験や知識が豊富な人が社内にいない場合は、自社運用はおすすめできません。
1つ1つの作業に手間取って時間がかかってしまい、数値を改善する知識も無いため、高い成果を出す可能性が低いからです。
代理店ならこれまでに培ってきた運用経験、改善のノウハウを活かして最短で高い成果を期待できます。
また高額な予算にも対応できるため、規模の大きな運用が可能です。
自社状況を把握して、代理店に依頼した方がいいケースに該当する場合は、代理店に運用を依頼しましょう。
広告代理店に外注して後悔したくないという方は、下記の記事をご覧ください。
【予算別】信頼できるリスティング広告運用代理店を選ぶ際の5つのポイント
まとめ
リスティング広告の費用の仕組みや予算の決め方、高い成果を出すポイント、代理店に依頼するメリットなどについて解説しました。
リスティング広告はオークション制で掲載順位が決まり、クリック課金制で広告費を支払います。
広告費用の相場は一般的に月20〜50万円程度といわれておりますが、最低金額はありません。
目標や平均値から予算額を算出しましょう。
費用対効果を高めるには「広告ランクの向上」や「ランディングページの最適化」、「代理店に相談」などのさまざまなアプローチがあります。
徐々に成果が伸びてきたら、予算の増額も積極的に検討しましょう。
また、「リスティング広告のでより成果を出していきたいという方」は、下記も合わせてご覧ください。よくある設定ミス9つの事例からリスティング広告の改善に取り組むポイントを解説しております。