リスティング広告の効果を改善する12つの施策を課題別で解説

リスティング広告を活用して、集客力の強化や自社商材の拡散を狙っている企業も多いのではないでしょうか。しかし、広告の効果が一度悪化してしまうと、立て直しに時間を要してしまうことがリスティング広告の難しいところです。

今回の記事では、リスティング広告の効果を改善する12つの手法を、4つの課題別に分けて解説します。リスティング広告で注目するべき指標や、課題解決に向けたアプローチの仕方を参考にして、効果改善を進めていきましょう。

この記事で分かること
  • リスティング広告における改善指標
  • リスティング広告の効果を改善するステップ
  • リスティング広告の効果を改善する施策
目次

リスティング広告における4つの改善指標

リスティング広告の成果を改善するにあたって、以下4つの指標をチェックしましょう。

リスティング広告の4つの改善指標
  • インプレッション数|Imp
  • クリック率|CTR
  • コンバージョン率|CVR
  • 予算

4つの指標が意味する内容や、各指標を改善するべき理由について解説します。

1.インプレッション数|Imp

インプレッション数とは、検索ユーザーに対して表示される回数のことです。「Imp」と表記されることもあり、Webマーケティングにおける重要な指標といえます。

インプレッション数が伸びないということは、そもそも検索ユーザーに広告が表示されていない状態です。つまり、リスティング広告の成果が出にくくなるため、キーワードの選定や予算の調整、品質スコアの改善といった対策が求められます。

また、インプレッションシェア率も重要です。インプレッションシェア率とは、広告が表示可能だった合計回数のうち、広告が実際に表示された回数が占める割合を意味し、競合との差を表します。インプレッションシェア率が高ければ、必然的に検索ユーザーへの表示回数が増加するため、対策後の効果測定にも活用してみてください。

2.クリック率|CTR

クリック率とは、検索ユーザーが広告をクリックした回数を表示回数(インプレッション)で割った指標です。Click Through Rateを略して「CTR」と表記し、以下の式で算出されます。

  • クリック率(%)=クリック数 ÷ 表示回数(Imp)×100

クリック率が低い場合、クリックされる機会が少ないということです。仮に、インプレッション数が増加したとしても、リンク先のLPに訪問するユーザーが少ないと、最終的な成果であるコンバージョンに至る可能性も低くなります。

クリック率は、検索キーワード(検索クエリ)と広告文の関連性や、広告文そのものがユーザーにとって魅力的であるかが影響します。また、広告商材に適した表示オプションが設定されているかも重要であるため、クリック率が低い場合は上記を確認しましょう。

3.コンバージョン率|CVR

コンバージョン率は、コンバージョンに至った回数をクリック数で割った数値です。Conversion Rateを略して「CVR」と表記されることもあります。

  • コンバージョン率(%)=CV数÷クリック数×100

CVRが低いということは、クリックによって広告予算が消化されているものの、売上につながっていない状態を意味します。つまり、クリック数に対してコンバージョン数が少ないことから、リスティング広告のCPA(CV1件あたりにかかる費用)が高騰してしまうのです。

CVRを改善するためには、ターゲティング(年齢、性別、趣味趣向、広告配信時間など)や、キーワード自体の見直しが求められます。また、検索ユーザーが広告文を見て意図することとリンク先LPの内容とでズレを防ぎ、離脱率を下げることも重要な対策です。

4.予算

4つ目の改善指標は、リスティング広告の予算です。リスティング広告は、検索ユーザーによるクリックで費用が発生する「クリック課金制」であるため、あらかじめ予算を決めたからといって全額消化できるわけではありません。

リスティング広告では、入札単価の上限予算を設定することが可能であるため、成果が好調なときは上限予算を上げることで多くのコンバージョンが期待できます。しかし、成果がつながりにくいキーワードの入札単価を上げてしまうと、コンバージョンが発生していないにも関わらず広告費が圧迫されてしまい、CPAが高騰します。

どのキーワードでコンバージョンの可能性が高いのかを分析したうえで、予算に対してどれくらいの上限予算を設ければよいのかを考えるようにしましょう。

リスティング広告の効果改善に向けた4つのステップ

リスティング広告の効果を改善するためには、どのような手順で進めていけばよいのでしょうか。以下で解説する4STEPを参考にしながら、リスティング広告の改善を行いましょう。

リスティング広告の効果改善4ステップ
  1. 目的や目標を定める
  2. 目的や目標と現状の差分を見つけ出し課題を洗い出す
  3. 課題に対する改善施策を整理する
  4. 改善施策を実行する

順に説明していきます。

STEP1.目的や目標を定める

STEP1では、リスティング広告の目的や目標を定めます。目的に応じて目標となるKPIが変わってくることから、広告を運用する前にしっかりと考えましょう。

たとえば、競合性の高い商材を扱っている企業であれば、インプレッションを獲得することが最初の目標となります。コストが多少高騰してしまっても、月間ボリューム数が多いキーワードでインプレッション数の拡大を狙っていきましょう。

一方で、可能な限りコストを低く抑えて費用対効果を高めたい場合は、キーワードの絞り込みが重要です。CPAを抑えるために、競合性の低いロングテールキーワードで検索ユーザーを効率的に狙うほか、CVRの改善を優先的に行いましょう。

STEP2.目的や目標と現状の差分を見つけ出し課題を洗い出す

STEP2では、目的や目標に対して現状との差分を見つけ出しながら、課題を洗い出していきます。課題がはっきりしないまま施策を進めてしまうと、成果が改善する可能性が低くなるだけではなく、逆に成果が悪化してしまうこともあり得ます。

課題を発見するうえで重要なのが、冒頭で解説したリスティング広告における4つの重要指標です。たとえば、インプレッション数が少ない場合、キーワードを誤って選定している、予算が少ない、広告の品質スコアが低いなどの原因が考えられます。

同様に、クリック率がなかなか上がらない場合、検索ユーザーのターゲティングや、広告文の訴求内容に課題を抱えている可能性があります。このように指標をチェックしながら、どのような課題が発生しているのかを考察することが大切です。

STEP3.課題に対する改善施策を整理する

課題を洗い出したあとは、課題に対する改善施策を整理します。それぞれの課題に対する改善施策はさまざまであり、適切な施策を講じなければなりません。

STEP2で取り上げた課題を例にすると、インプレッション数を改善するためには、検索クエリを見直すことや、予算額の調整、広告の品質スコアを向上させるための施策を行う必要があります。また課題改善に向けて、どれくらいの期間を要するのか、どういったテストを行っていくのか、といったプランニングもしましょう。

STEP4.改善施策を実行する

STEP4では、STEP3でプランニングした改善施策を実行していきます。改善策を1つずつ実行していき、一定期間における指標の変化についてデータを取得します。

データを取得する際は、Googleが提供する「LookerStudio」といったツールを使用してみてください。改善策を実施した後のレポートを作成して、簡易的にモニタリングできることが理想的です。

また、改善施策を実行したあとは、データ取得だけではなくPDCAサイクルを回すことも重要です。モニタリングの結果、さらなる課題を発見して、課題に対する改善策を洗い出していき、繰り返し施策を行いましょう。

【課題別】リスティング広告の効果を改善する12つの施策

リスティング広告の効果改善に向けて、各課題に対して適切な施策を講じなければなりません。それでは、それぞれの課題を抱えたときは、どのような施策を進めればよいのでしょうか。

最後に、リスティング広告で抱えやすい課題を4つに分類して、課題改善への施策をご紹介します。12つの施策を参考にして、リスティング広告の成果向上を目指しましょう。

リスティング広告で抱えやすい課題
  • インプレッション(Imp)が増えない
  • クリック率(CTR)が上がらない
  • コンバージョン率(CVR)が上がらない
  • 予算が高騰している

順に説明していきます。

インプレッション(Imp)が増えない場合の改善施策

はじめに、インプレッション数が増加しない場合の改善施策です。インプレッション数は、リスティング広告で成果を得るために欠かせない指標であり、早急な改善が求められます。

  • マッチタイプを見直す
  • キーワードを追加する
  • 入札単価を引き上げる
  • 品質スコアを改善する

インプレッション数を増やすためには、上記の改善施策が挙げられます。施策を行うにあたって、どのような方法で進めればよいかをご紹介します。

1.マッチタイプを見直す

インプレッション数を増加させるための1つ目の施策は、マッチタイプを見直すことです。マッチタイプとは、キーワードの広告表示範囲を指定する条件です。「完全一致<フレーズ一致<部分一致」の順番で、表示されるキーワードの幅が広くなります。

  • 完全一致:キーワードがすべて一致
  • フレーズ一致:キーワードと同じ意味の検索語句
  • 部分一致:キーワードを含むすべての組み合わせと類義語

完全一致とは、検索キーワードのすべてが一致している場合に、広告が表示されるマッチタイプのことです。無駄なクリックを防げる一方で、完全一致しないと表示されないことから、インプレッション回数が下がる可能性があります。

そこで、完全一致である程度効果が出ている場合は、フレーズ一致や部分一致で広告表示範囲を広げてみましょう。

また、フレーズ一致と部分一致は、広告が表示されるクエリの範囲が広がるため、無駄なクリックが増えたり、運用者側で意図していない検索クエリで広告が表示されたりしてしまうことがあります。キーワードごとの成果を日々チェックして、成果が出ていないキーワードを洗い出すほか、マッチタイプの組み合わせを適宜調整することが重要です。

成果が出ているキーワードに予算を増やし、成果が出にくいキーワードは除外キーワードに設定するなど、試行錯誤を繰り返しましょう。

2.キーワードを追加する

次に、キーワードの追加です。商材やビジネスの領域によっては、キーワードのボリューム数や、広告に使えそうなキーワード自体の数が少なくなります。つまり、インプレッション数が伸びにくくなるため、関連キーワードを増やしていくことが必要です。

関連キーワードを探すためには、まずクリック率やコンバージョン率が高いキーワードを洗い出します。そして、洗い出したキーワードから、関連性が高いキーワードを選んで追加することがポイントです。

GoogleやYahoo!のリスティング広告では、「最適化案」と呼ばれる機能がついています。機能を追加すると、運用中にインプレッションの増加につながりやすいキーワードが提案されるため、適宜参考にしてみてください。

3.入札単価を引き上げる

インプレッション数増加に向けた3つ目の施策は、入札単価を引き上げることです。そもそも、キーワードの検索順位を上げるためには、競合他社よりも優位な立場で運用しなければなりません。

競合他社よりも高い検索順位を狙うためには、入札単価を引き上げることが必要となります。予算に対してどれくらいの入札単価が可能かどうかを調べたうえで、リスティング広告を有利に運用しましょう。

4.品質スコアを改善する

品質スコアの改善もインプレッション数増加に適した施策です。品質スコアとは、以下の3つを評価対象としたもので、スコアが高いほど検索順位が上がります。

  • 推定クリック率:検索結果で広告がクリックされる可能性の指標
  • 広告の関連性:検索ユーザーの意図と広告内容の一致度
  • ランディングページの利便性:検索ユーザーのニーズとLPの関連性、利便性

上記三つのポイントを確認してみてください。

クリック率(CTR)が上がらない場合の改善施策

クリック率が上がらない場合、インプレッション数が十分に出ていても、コンバージョンの可能性が低くなります。次の3つの改善施策を試しながら、クリック率を向上させましょう。

  • 広告文とキーワードの関連性を見直す
  • キーワードの選定を見直す
  • 広告表示オプションを追加する

順に説明していきます。

1.広告文とキーワードの関連性を見直す

1つ目の改善施策は、広告文とキーワードの関連性を見直すことです。検索キーワードに対して、広告文の内容と関連性が低い場合、クリックされる可能性が低くなります。

また、キーワードと広告文の関連性を見直すだけではなく、訴求力の高い広告文に仕上げることも重要です。ユーザーが思わずクリックしたくなるような広告文や、ユーザーに寄り添った広告文を作成しましょう。

具体的には、以下のポイントを押さえます。

  • 検索ユーザーの潜在ニーズを汲み取る
  • 検索ユーザーの悩みに寄り添う
  • 広告文に課題・悩みを解決する方法を記載する
  • 限定感の高い語句や数字を活用する

検索ユーザーの潜在ニーズを汲み取るだけではなく、キーワードに対してどのような悩みを抱えているのかを考察すること、そして解決方法を広告文に記載することでクリック率の改善に期待できます。また、限定感の高い語句や数字を使いながら訴求力を高めることも、有効な改善施策になります。

2.キーワードの選定を見直す

2つ目の改善施策は、キーワードの選定を見直すことです。リスティング広告で運用中のキーワード自体が検索ユーザーのニーズを汲み取れていないと、クリック率の改善が難しくなります。

そこで、現在出稿しているキーワードのなかで、インプレッション数は出ているものの、クリック率が低いキーワードの運用を見直しましょう。また、クリック率やコンバージョン率が高いキーワードを洗い出して、類似性が高いキーワードを選定することもクリック率の改善につながります。

3.広告表示オプションを追加する

3つ目の改善施策は、広告表示オプションの追加です。広告表示オプションとは、広告の構成要素(タイトル、表示URL、最終リンク先URLなど)以外の要素について、検索広告の下部に追加表示するオプション機能です。

広告表示オプションを追加することで、広告の視認性が向上して、クリック率が改善する可能性があります。また、広告ランクにも良い影響を与えるとされており、クリック単価の改善も期待できます。

コンバージョン率(CVR)が上がらない場合の改善施策

コンバージョン率が上がらないと、クリックされてもコンバージョンが発生せず、CPAが高騰してしまいます。コンバージョン率を改善するために、広告文とLPの関連性を見直す、ランディングページの最適化を実施しましょう。

  • 広告文とLPの関連性を見直す
  • LPO(ランディングページの最適化)をおこなう

順に説明していきます。

1.広告文とLPの関連性を見直す

コンバージョン率改善に向けて、広告文とLPの関連性を見直していきます。広告文とLPの関連性が低い場合、クリックした検索ユーザーのニーズが達成できないと判断されるため、CVRが下がる原因になります。

また、広告文とLPの関連性が低いと、品質スコアにも悪影響を与える恐れがあります。広告文の修正によって一時的にCVRが上昇しても、そのあとインプレッション回数が落ちてしまう可能性があります。

広告文とLPの関連性を見直す際は、検索ユーザーの視点をもつことが重要です。検索ユーザーが広告文を見て、どのようなLPを求めているのかを分析してズレを防ぎましょう。

2.LPO(ランディングページの最適化)をおこなう

LPOにおける改善ポイントの例は、以下のとおりです。

  • 広告文と関連性が高いLPの作成
  • コンバージョンボタンまでの導線
  • ユーザーフレンドリーなデザイン
  • モバイルユーザーに適した設計

LPOとは、ランディングページの最適化を意味し、検索クエリや顧客ニーズに合わせて見直すことを指します。具体的には、広告文の内容に対して関連性が高いデザインがLPで採用されているか、広告文の内容に合致した商材の説明がされているか、などのポイントが挙げられます。

また、ランディングページの最適化では、ユーザーフレンドリーを意識した設計も重要です。コンバージョンボタン(CTA)までの導線が適切であるか、ユーザーにとって見やすいデザイン・設計であるかを意識する必要があります。LP内で離脱率が高いエリアを抽出して、適宜修正することも効果的です。

とくに、スマートフォンやタブレットのユーザーが増えているなかで、モバイル端末に対応したLPを構築することはポイントの1つです。LPの読み込み時間が長い、スクロールが必要な量が多い、文字が小さくて見にくいといった、離脱要素となるポイントがあれば修正しましょう。

予算が高騰している場合の改善施策

入札単価を高く設定しすぎていたり、成果につながりにくいキーワードをそのままにしていたりすると、予算が高騰してCPAが悪化してしまいます。そこで、入札単価の見直しやキーワードの調整などを行い、予算高騰への対策を進めましょう。

  • 入札単価を見直す
  • キーワードを調整する
  • 色々な視点から数値を比較してみる

順に説明していきます。

1.入札単価を見直す

予算高騰に対して、キーワードの入札単価を見直す施策が効果的です。掲載順位を上げるためには入札単価を引き上げる必要がありますが、その分コストは高くなってしまいます。

そこで、成果が出ているキーワードは入札単価を徐々に上げましょう。一方で、成果が出にくいキーワードに関しては、入札単価を抑えることで広告予算を削減できます。

2.キーワードを調整する

次に、キーワードの調整です。さまざまなキーワードを一つのグループにまとめて運用すると、検索ボリュームが多いキーワードに予算が傾き、全体的な予算も高騰してしまいます。

予算の高騰を抑えるためには、クリック率やコンバージョン率が高いキーワードのグループを作り、優先的に予算が出るような仕組みを構築します。同時に、クリック率・コンバージョン率が悪化しているキーワードグループは配信を停止させ、無駄な予算の発生を防ぎましょう。

3.色々な視点から数値を比較してみる

予算高騰時における3つ目の施策は、リスティング広告の数値に関してさまざまな視点から比較することです。たとえば、自社商材がパソコン・モバイルでどちらのユーザーが多いのか分析します。仮にパソコンユーザーが多い場合は、パソコンへの入札比率を引き上げることで、成果が出やすいと考えられる方に予算を多く出せます。

検索ユーザーの端末だけではなく、エリア、年齢、性別、時間帯といった細かい数値を分析すると、成果が出ているターゲットが明確になります。成果が出やすいターゲットに予算を投じて、CPAを効率的に下げるようにしましょう。

まとめ

リスティング広告の効果改善を行う際は、まず指標をチェックして、どの数値が悪化しているのかを見極める必要があります。そして、数値が悪化している原因・要因を分析したうえで、どのように課題を解決するのかプランニングしていきます。

また、改善施策を進めるにあたって、一つひとつ丁寧に実行して、施策後の効果測定を行うことも大切です。本記事で解説した12つの手法を参考にして、リスティング広告の課題解決に取り組みましょう。

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この記事を書いた人

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