- リスティング広告の出稿の仕方
- リスティング広告の向いている・向いていない場合
- リスティング広告の運用で押さえるべきポイント
リスティング広告という言葉は聞いたことがあっても、それがどのような広告で、どのように始めればよいのかわからない…という方も多いのではないでしょうか。
リスティング広告は自社の認知度やブランド力を高めるのに有効な施策でありながら、内容をしっかりと把握できていない、効果的な運用方法がわかっていない、という企業担当者も少なくないようです。
本記事では、「リスティング広告について知りたい」「リスティング広告をどのように始めればいいのかわからない」という方に向け、リスティング広告の運用について、初心者にもわかるように具体的かつ詳細に解説していきます。
本記事を読むことで、リスティング広告について理解が深まり、不安や懸念もなく、有益な広告運用に取り掛かれるでしょう。ぜひ参考にしてください。
リスティング広告とは?
リスティング広告は、主にGoogleやYahoo!の検索結果画面に表示される、テキスト型の広告です。
検索連動型広告ともいわれており、ユーザーの検索に沿って広告を表示させるため、より興味・関心のあるユーザーにアプローチできます。
本章では、以下の内容でより詳しく解説していきます。
- 検索結果ページに表示される
- 表示されるフォーマットはテキスト
- 費用はキーワードごとの入札単価×オークションで決定する
- 掲載順位は入札の単価と広告の品質で決まる
1つずつ確認していきましょう。
検索結果ページに表示される
先述したとおり、リスティング広告は主にGoogleやYahoo!の検索結果ページに表示されます。
たとえば、「旅行 おすすめ」と検索したユーザーに対して、旅行関連の広告が表示されるといったイメージです。
リスティング広告は、主に検索結果ページの上部と下部に表示されます。
ユーザーの検索行動に合わせて広告が表示されるため、より関心の高いユーザーに対する効果的なアプローチが可能です。
リスティング広告は、ユーザーの検索行動に密接に連動して広告を表示するその性質から、効果的なマーケティング手法の1つといえます。
表示されるフォーマットはテキスト
リスティング広告は、テキスト形式のフォーマットで表示されます。
これは、バナー広告などの画像形式の広告が「ディスプレイ広告」として分類されるためです。
テキスト形式は、視覚的なインパクトを持つ画像広告とは異なり具体的なメッセージを直接伝えられるため、具体的な情報をユーザーに提供できます。
リスティング広告は、ユーザーの検索行動と直結したマーケティング手法であり、テキスト型の広告として集客に効率的です。
費用はキーワードごとの入札単価×オークションで決定する
リスティング広告の費用は、キーワードごとの入札単価とオークション形式によって決定されます。
ユーザーがキーワード検索をする度にオークション形式で広告の入札がおこなわれるため、掲載される広告や順位は常に変動します。最終的にオークションで最も高い入札をした広告が表示される仕組みです。
このように、リスティング広告の費用はキーワードごとの入札単価とオークションによって決定されるため、適切なキーワード選定と入札単価設定が重要といえます。
掲載順位は入札の単価と広告の品質で決まる
リスティング広告の掲載順位は、入札の単価と広告の品質で決まります。
広告の品質が決まる要素として該当するのは、以下のものです。
- 広告文の関連性
- 広告をクリックする可能性の高さ
- LP(ランディングページ)の質
- 推定クリック率 など
上記の要素が総合的に評価され、広告の品質が決定します。
わかりやすく魅力的な広告タイトルや広告文・LPの質などは品質スコアを向上させ、表示順位をより高めることが可能です。
優れた広告の品質と適切な入札単価を設定することで、広告主はリスティング広告の掲載順位を最適化できるでしょう。
リスティング広告のやり方、始め方
新たにリスティング広告を始める際には、広告アカウントの開設から広告運用まで、1つずつ手順を踏んで進めていきます。
リスティング広告を始める大まかな流れは、以下のとおりです。
- 広告のアカウントを開設する
- アカウント構成を考える
- キャンペーンを作成する
- 予算を設定する
- 広告文を設定する
- 広告の運用を開始する
順番に詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
広告のアカウントを開設する
リスティング広告を開始する最初のステップとして、GoogleやYahoo!で広告アカウントの開設をします。
例として、Google広告でアカウント開設をおこなう手順を見ていきましょう。
Google広告でアカウントを作成する際は、以下の2つのモードからどちらかを選択します。
- スマートモード
- エキスパートモード
スマートモードはデフォルト設定のため、そのままアカウント作成を進められます。
一方、より詳細な設定や運用を望む場合は、エキスパートモードを選択するのがおすすめです。
スマートモードで作成したアカウントはエキスパートモードに切り替えできますが、切り替えた後でスマートモードに戻すことはできない点には留意してください。
Googleでリスティング広告を運用する場合、運用の目的やレベルに応じて適切なモードを選択し、広告アカウントを開設することが重要です。
Google・Yahoo!ともに広告アカウントを作成する際は、メールアドレス・Webサイト・決済手段などを事前に準備しておくと、スムーズに作成できるでしょう。
参考:Google広告アカウントを作成する:ご登録方法|Google広告
アカウント構成を考える
アカウント構成をしっかりと考えてから運用を始めなければ、成果は出しにくくなります。
アカウント構成は、広告活動の全体像を描くための戦略そのものとなるためです。
アカウント構成には、以下5つの要素があります。
- アカウント:全体の枠組みであり、1企業1アカウントが基本
- キャンペーン:広告予算やターゲティングの設定…アカウント内で各種目標に応じて設定される
- 広告グループ:キャンペーン内に設定…特定のテーマや商品に対応する一連のキーワードと広告をまとめる
- キーワード:マッチタイプ・入札価格の設定
- 広告:タイトルや広告文・リンク先
リスティング広告のアカウント構成は、広告戦略全体の設計図ともいえるでしょう。
以下に具体的な例を示します。
- アカウント:「Aブランド」全体が1つのアカウント
- キャンペーン:「春の新作コレクション」「夏のセール」など各季節や目標ごとにキャンペーンを設定
- 広告グループ:「春の新作コレクション」の「トップス」「ボトムス」「アウター」など商品カテゴリごとに広告グループを作成
- キーワード:「春の新作トップス」「Aブランド 春のトップス」などの具体的な商品やスタイルに関連するキーワードを設定
- 広告:商品名・特徴・価格などを具体的に伝える広告文を設定。広告をクリックした際にジャンプするランディングページも適切に選ぶ
これらすべてを適切に設定し、一貫性のある広告運用をおこなうことで、広告効果を最大化できます。
キャンペーンを作成する
キャンペーンは広告運用を管理するための1つの単位です。目標、予算、ターゲットとなる広告の表示場所などを設定します。
ここでは、キャンペーンを作成する手順について確認していきましょう。
以下は、Google広告でキャンペーンを作成する手順ですが、既存ユーザーと新規ユーザーとで作成方法は異なります。
- 広告目標とコンバージョン目標を選択する
- キャンペーンタイプを選択する
既存ユーザーの場合、広告の目標とコンバージョンの目標をそれぞれ決めることが優先です。広告で達成したい目標(例:Webサイトへの訪問者増加・製品やサービスの販売・ブランド認知度の向上など)を具体的に設定します。
次に、「キャンペーンタイプ」の選択が必要です。
この工程では、広告を表示する場所(検索ネットワーク・ディスプレイネットワーク・YouTubeなど)を決め、キャンペーンの設定でキャンペーン名・地域・言語・予算などを具体的に設定します。
(新規ユーザー)
- ビジネス情報を追加する
- キャンペーンの目標と予算を設定する
- 支払い情報の詳細を入力する
- ビジネス情報を追加する
- キャンペーンの目標と予算を設定する
- 支払い情報の詳細を入力する
新規ユーザーの場合は、プロフィールや会社のURLなどのビジネス情報を入力するところから始めます。
次にキャンペーン目標を設定、その目標とニーズに応じたキャンペーンタイプに基づいて予算を決め、1日に使ってもよい平均金額(日予算)を設定していきましょう。
最後に、支払い情報の詳細を入力して終了です。
これらの手順を踏むことにより、広告キャンペーンを効果的に作成できます。
予算を設定する
広告運用を開始する前に、予算と入札単価の設定をおこないます。
予算設定はGoogleやYahoo!の広告プラットフォームでおこない、広告の投稿頻度や表示できる範囲を決定しましょう。
Googleでの予算設定の方法は、以下のとおりです。
- 予算設定をする
- 支払い情報の設定をする
- クレジットカード情報の入力をする
まず予算設定をしていきます。
1日あたりの平均費用を記入しますが、1日の費用が記入した額を超過する可能性があることには留意しておきましょう。
次に、支払い情報の設定が求められます。
必要な項目を記入し、広告を掲載するための予算設定も忘れてはなりません。
また、クレジットカード情報の入力も必要です。登録時には、あらかじめクレジットカードを手元に準備しておくことをおすすめします。
入札単価では、広告キャンペーンに応じて広告運用の最適化を目指す単価設定にするとよいでしょう。
広告文を設定する
広告文は、ユーザーの興味を引きクリックにつながるような内容に設定していきます。
- Googleでのテキスト広告の編集方法は、以下のとおりです。
広告グループでは、以下の項目を編集できます。
- 最終ページ URL(ランディング ページ)
- 広告見出し
- 表示 URL のパス
- 説明文
また、複数の広告を一括で編集する方法もあります。「拡張テキスト広告」と「拡張動的検索広告」が、上記と同じ方法で編集可能です。
Yahoo!広告には、広告表示オプションがあります。
広告表示オプションとは、広告の構成要素以外の情報を検索広告の下に追加できる機能です。
構成要素ではカバーしきれない情報、特定のWebページ・電話リンクなどが追記できます。
異なる表示オプションであれば、1つの広告内に複数追加することも可能です。
広告の運用を開始する
広告運用を開始する際には、予算の消化や獲得状況を確認し、キーワードの除外や品質スコアの改善をおこないます。
この確認作業は、予算の使用効果を明確に把握し、広告運用の効果を最大化するためのものです。
効果の低いキーワードを除外することで、無駄な広告費を抑えられます。また、品質スコアを改善することで、広告の表示順位を向上できるでしょう。
広告運用は一度設定したら終わりではなく、常に改善と最適化を目指していく必要があります。
リスティング広告の運用が向いているケース
リスティング広告は、特定の商品やサービスを探しているユーザーに直接訴求できます。
リスティング広告の運用がとくに向いているケースは、以下の2パターンです。
- ユーザーのニーズが顕在化している場合
- 競合他社が出稿しており、ある程度のクリックが見込めそうな場合
1つ目は、ユーザーのニーズが顕在化している場合です。
リスティング広告は、ユーザーが具体的なキーワードで検索をおこなうときに表示されるため、ユーザーがすでに何かを探しているという顕在的ニーズに対して非常に効果的といえるでしょう。
たとえば、ある商品やサービスをすでに知った上で探しているユーザーに対して、リスティング広告は直接その商品やサービスを提供する企業や店舗へと導けます。
2つ目は、競合他社が出稿しており、ある程度のクリックが見込めそうな場合です。
これは、検索エンジン上での競争が激しいキーワードについて、ほかの企業がすでに広告を出稿している場合に該当します。
このような場合、自社も同様の広告を出稿することで、競合他社と同様のユーザー層に対するアプローチが可能です。
たとえば、特定の製品カテゴリやブランド名で検索をおこなうユーザーに対し、同じ製品や類似の製品を提供する自社の広告を表示することで、ユーザーのクリックを獲得できます。
以上のように、ユーザーのニーズが顕在化している場合や、競合他社が出稿しておりある程度のクリックが取れていそうな場合は、リスティング広告の運用が適しているといえるでしょう。
リスティング広告の運用が向いていないケース
リスティング広告は、効果的なマーケティングツールとなり得ますが、すべての状況において最適とも限りません。
ここでは、リスティング広告の運用が向いていない具体的なケースについて解説します。
- 主に潜在的なニーズを刈り取ることが目的の場合
- 認知度を高めたいという目的がある場合
- テキスト訴求できない場合
リスティング広告は、潜在的なニーズ…つまりユーザー自身が何を探しているのか自覚していないようなニーズを刈り取ることは苦手といえます。
認知度を高めたいという目的がある場合も、視覚的にインパクトのあるディスプレイ広告のほうがより効果的でしょう。
リスティング広告はテキスト型の広告であり、ユーザーの注意を引くためには強力なテキスト訴求が必要です。しかし、テキストによる訴求が難しい場合や、ビジュアルな要素を用いてユーザーに訴えたい場合には、ディスプレイ広告のほうが適しています。
また、リスティング広告は検索されるものに対してのみ表示されるため、広告が検索されるキーワードに関連していなければ、当然目に触れることはありません。
検索される可能性が低いキーワードや、まだ一般的に知られていない新商品などに対しては、リスティング広告の運用は向いていないといえるでしょう。
リスティング広告の運用で成果を出す方法
リスティング広告の運用で成果を出すためには、戦略的なやり方が欠かせません。
広告キャンペーンの成功は、計画と実行の質に大きく依存します。
リスティング広告の運用で成果を出すためには、以下のアプローチ方法が有効です。
- 広告ランクを上昇させる
- 除外キーワードを設定する
- マッチタイプをうまく使う
それぞれの方法を詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
広告ランクを上昇させる
広告ランクを上昇させるには、入札単価を上げることに加えて品質スコアを上げることが重要です。
単純に入札単価を上げれば上位表示しやすくはなりますが、ただ高い金額をかけて表示するだけでは費用対効果は高くありません。す。
Google公式の情報によると、品質スコアは以下の要素から算出されます。
- 推定クリック率(推定CTR)
- 広告の関連性
- LP(ランディングページ)の利便性
すべての要素を改善することで、より高い品質スコアを獲得でき、結果的に広告ランクの上昇につながるでしょう。
除外キーワードを設定する
除外キーワードの設定は、広告効果を最大化するために重要な施策の1つです。
除外キーワードを設定することで、不要なキーワードに対する出稿を防ぐことでき、無駄な広告費の削減につながります。
1か月などの一定期間ごとに成果を確認し、あまり成果に結びついていないキーワードは除外するべきです。
たとえば、あるキーワードに対するクリックは多いものの、具体的なコンバージョンに結びついていないケースがあるとします。その場合、当該キーワードを継続して出稿しても広告費が無駄に消費されるばかりで、成果の向上には一向に結びつかないでしょう。
除外キーワードの設定は広告の効率性を高め、成果を出すための重要な手段といえます。
マッチタイプをうまく使う
マッチタイプをうまく活用することも、リスティング広告の効果を最大化するために重要な戦略です。
マッチタイプを適切に使い分けることで、効果的なリスティング広告の運用が可能となります。
マッチタイプは、以下の3種類です。
- 完全一致
- 部分一致
- フレーズ一致
本来、初期の検証期間に「部分一致」で広告を出稿し、データが蓄積したら除外キーワードを設定し、CV(コンバージョン)の取得が困難なキーワードは「完全一致」で設定していくことが、理想的な運用です。
ただし、最初から成果を求められることも少なくありません。その場合、まず「完全一致」や「フレーズ一致」のような拡張性の低いマッチタイプで広告を出稿していきます。その後、CVの確度が高いキーワードに対する反応を検証し、拡大フェーズとして「部分一致」を使用する流れが理想的です。
このように、マッチタイプを適切に使い分けることで、効果的なリスティング広告の運用が可能となります。
予算は20万円~50万円程度から考える
リスティング広告の予算は、20万円〜50万円程度が一般的とされています。
とはいえ、リスティング広告に最低金額はないため、自社の都合に合わせて予算を決めるとよいでしょう。
リスティング広告の出稿は少額でも始められますが、取れるデータ量が少ないと正確な判断は難しくなってしまいます。
そのため、運用の初期段階は少額の予算を設定しておいて、運用実績に応じて徐々に増額していくことがおすすめです。
また、予算設定の際には、目標とするCV(コンバージョン)数から逆算して広告費用を算出する方法もあります。
たとえば、月に100CVを目指す場合、CPAを2,000円とすると、月の予算額は20万円という計算式が成り立ちます。
- CV数:100 × CPA:2,000円 = 予算:200,000円
リスティング広告の性質上、広告の運用を続けることで得られるデータと、それに基づく効果が必ずしもイコールではありません。
また、ジャンルや狙うキーワードによっても必要な金額は異なります。
リスティング広告の予算は、20万円〜50万円程度が一般的であるものの、自社の状況や目標に応じて変動することを覚えておきましょう。
まとめ
本記事では、リスティング広告の運用について、初心者でもわかるように詳しく解説してきました。
また、予算の組み方や成果を出すための方法などについてもお伝えしています。
リスティング広告の概要をしっかりと理解した上で運用を始められれば、広告運用の最適化を図り、成果を出すことも十分に可能です。
ご紹介した始め方や運用方法を参考に、リスティング広告の運用によってビジネスの売り上げを最大化できることを期待しています。