ビュースルーコンバージョンとは?成果につながる計測方法を5分で解説

広告運用のマーケターや担当者であれば、「ビュースルーコンバージョン」という用語を聞いたことがある方もいるのではないのでしょうか。

ビュースルーコンバージョンは、多くの広告に用いられる指標の1つであり、クリックスルーコンバージョンと比べて扱いが難しい指標です。

この記事では、「ビュースルーコンバージョン」における概要や計測条件、各媒体での確認・設定方法などを解説します。

自社の広告効果を検証する際の参考指標として、ぜひお役立てください。

この記事で分かること
  • ビュースルーコンバージョンとは何か?
  • ビュースルーコンバージョンの重要性
  • ビュースルーコンバージョンの計測方法
目次

ビュースルーコンバージョンとは広告が間接的にコンバージョンに貢献した数のこと

ビュースルーコンバージョンとは、ユーザーが広告を視聴したあと、その広告をクリックせずにほかのチャネル経由でコンバージョンした際に計上される指標です。

たとえば下記のような事例が、ビュースルーコンバージョンに当てはまります。

  • SNSを見ている際に、ある商品の動画広告を視聴した。その時は興味がなかったので広告をクリックしなかったが、後日リスティング広告で再び見つけ購入した。

この場合、コンバージョンはリスティング広告経由で計上されますが、動画広告を視聴したことで購買意欲の向上につながった可能性があるということになります。

クリックスルーコンバージョンとの違い

クリックスルーコンバージョンとは、広告を見たユーザーが実際にクリックして、コンバージョンにつながった数のことです。

ビュースルーコンバージョンとの大きな違いは、「ユーザーが広告をクリックしたかどうか」です。広告がクリックされてコンバージョンにつながった場合、広告が有益なものと判断されたと考えられます。

一方でビュースルーコンバージョンの場合、クリックされなかったという事実だけでは、本当に「広告が有益ではなかった」のか判断するのは困難です。

認知目的の広告だった場合、ユーザーに知ってもらう・印象に残してもらうことこそが重要といえます。そのため、ビュースルーコンバージョンが有効な指標となるわけです。

ビュースルーコンバージョンが重要な3つの理由

ビュースルーコンバージョンは、間接的な広告効果を把握するためにも重要な指標です。

ビュースルーコンバージョンが重要な理由として、主に下記の3つが挙げられます。

ビュースルーコンバージョンが重要な3つの理由
  • 広告の効果を測る参考指標になるため
  • 戦略設計の判断材料になるため
  • 顧客行動を把握するヒントになるため

本章では、ビュースルーコンバージョンが重要な理由をそれぞれ解説します。

広告の効果を測る参考指標になるため

ビュースルーコンバージョンは、広告を視聴したユーザーが、ほかのチャネル経由でコンバージョンしたかどうかを確認できる指標であり、広告効果の分析をおこなう上で重要です。

動画広告やコンバージョンが少ない広告の間接的な広告効果を測れるだけでなく、認知・購買意欲や商品理解の向上などの効果を確認したい場合に参考となります。

クリックにはつながっていないものの、広告がユーザーに対してどのような影響を与えているのかを知ることは、広告の改善や戦略の設計をおこなう上で重要です。

戦略設計の判断材料になるため

ビュースルーコンバージョンは、広告戦略の設計のための判断材料としても重要な役割を果たします。広告を見たユーザーが、別チャネル経由で獲得に繋がっているかを確認できるため、認知や商品理解の促進などの施策で有効な指標となるためです。

間接的な広告効果を含めて戦略を設計することで、より細かな広告の配信が可能となります。

もし、クリックスルーコンバージョンのみを指標として獲得コンバージョン数の低い広告を停止した場合、獲得向けの広告配信をおこなう際の「種まき」ができなくなってしまうでしょう。

それにより、獲得数の減少につながる可能性があります。

戦略設計の際には、ビュースルーコンバージョンも考慮に入れ、本当に出稿停止すべきかどうかの判断を適切に下していくことが大切です。

顧客行動を把握するヒントになるため

ビュースルーコンバージョンを活用することで、どの広告で認知を得て、どの広告でどのような行動を促しているのか、という仮説を立てられるようになります。

通常のコンバージョンのみを計測している場合は、どの広告からどれだけの数がコンバージョンしたのかという情報のみしかありません。

アクセス解析を見れば、訪問者が利用しているデバイスや参照元のサイト・セッション数・滞在時間など、ありとあらゆることが数値データとしてわかります。

たとえば、ディスプレイ広告をその場でクリックしなくても、検索エンジンにキーワードを入力し、流入してくることは十分にあり得るでしょう。

通常の自然検索と同様に考えるのは、見当違いであるともいえます。これにより、ターゲット顧客にとって一層効果的な広告戦略を策定することが可能となるのです。

【注意】クリックスルーコンバージョンと同等に扱わないこと

クリックスルーコンバージョンが直接的な広告クリックから生じる成果を測定するのに対し、ビュースルーコンバージョンは広告が見られたあとの間接的な影響を測定します。

ビュースルーコンバージョンは参考指標として大切ではありますが、過信するのもよくはないないでしょう。

両者は異なるアプローチを取るため、マーケティング戦略上、それぞれを独立した指標として評価する必要があります。

実際にユーザーが、広告を認識した上でコンバージョンを起こしたのかが不明確であるためです。クリックスルーコンバージョンと同等の成果のように扱ってしまうと、実際の評価との乖離が懸念されます。

直接的な成果と間接的な影響を適切に区別し、それぞれの指標の特性を理解することが、効果的な広告戦略の基盤として必要です。

ビュースルーコンバージョンの計測条件

ビュースルーコンバージョンを計測するためには、特定の条件設定が必要です。

これには、広告が表示されてからどの程度の期間内に生じたコンバージョンをカウントするか、を定義することが含まれます。

一般的には、広告表示後の数日間から数週間を計測期間として設定することが多いでしょう。

また、ビュースルーコンバージョンがインプレッションの1つだけを経由したとは限りません。

たとえば、複数のインプレッションを経由したり、クリックと閲覧の両方がおこなわれたあとにコンバージョンが達成されることも想定できます。

設定をおこなうことにより、広告の間接的な影響をより正確に捉え、その効果を評価することが可能となるのです。

スクロールできます
Google広告 条件:広告の50%以上が1秒以上表示  *動画広告では2秒表示された場合      
   計測期間: 1~30日間で指定可能   *デフォルトは1日間
Yahoo!広告 条件:広告の50%以上が1秒以上表示        
   計測期間:1日間
Facebook広告  条件:広告が1%以上表示            
   計測期間:1日
Twitter広告    条件:広告が1pixel以上表示       
   計測期間: 1~90日間で指定可能

ビュースルーコンバージョンの計測設定・確認方法

ビュースルーコンバージョンの定義は、広告を配信するプラットフォームによって、下記のとおり異なります。

Google広告 広告面積の50%以上が1秒以上表示された場合
Yahoo!広告 広告の50%以上の範囲が1秒以上表示された場合
Facebook広告  広告が1%以上表示された場合
Twitter広告    広告が1pixel以上表示された場合

運用型広告の主な媒体4つについて、ビュースルーコンバージョンの計測条件と確認方法をご紹介します。

Google広告の場合

Google広告においては、最大30日以内であれば、期間内に発生したビュースルーコンバージョンの件数を計測し把握することが可能です。

広告の閲覧から購入までの期間が長い商材や、データが少なくて判断が難しい場合には、計測期間を長くすることも検討してみましょう。

また、トラッキングしているコンバージョンの種別によっても異なるので、十分に検討して追加することも大切です。

Google広告の設定方法と確認方法をそれぞれ解説します。

設定方法

Google広告では、Google広告アカウントへログインして、ビュースルーコンバージョンの設定をおこなうことが必要です。

下記の手順に沿って「設定」から「設定の編集」を選択したあと、「計測期間」を設定すれば完了です。

  1. 管理画面を開き、「ツールと設定」をクリック
  2. 「測定」から「コンバージョン」クリック
  3. 「ビュースルーコンバージョン計測期間」で日数を選択

計測期間は、最大30日間まで選択できます。

確認方法

Google広告のレポートセクションで、キャンペーンごとにビュースルーコンバージョン数を確認できます。

  1. 管理画面の「表示項目」をチェック
  2. 「表示項目の変更」で「ビュースルーコンバージョン」を選択

これにより、各広告のパフォーマンスを詳細に把握し、最適化の方向性を決定できます。

Yahoo広告の場合

以前まではビュースルーコンバージョンを計測することができなかったのですが、2020年8月以降からは計測可能になりました。

コンバージョン獲得を目指してYahoo広告を運用しても、想定通りコンバージョン数が伸びないケースもあります。

そこでビュースルーコンバージョンを計測すれば、Yahoo広告が間接効果を発揮しているのか、それとも効果を発揮できていないのか把握することが可能です。

ビュースルーコンバージョンで計測が可能な期間は1日間のみです。タグの設定をおこなった時点で計測されるため、個別に設定することはありません。

確認方法

Yahoo広告では、広告マネージャーのパフォーマンスレポートを通じて、ビュースルーコンバージョンを確認します。

  1. 管理画面の「表示項目」をクリック
  2. 「表示項目の編集」の追加項目から、「ビュースルーコンバージョン数」を選択

これにより、Yahooプラットフォーム上で指定期間のビュースルーコンバージョンが表示され、広告の効果を具体的に確認できます。

Meta広告

Facebook広告と同時にほかのWeb広告も運用している場合は、とくにビュースルーコンバージョンの計測を実施するのがおすすめです。

この場合、Facebook広告だけでなく、ほかのWeb広告も計測します。そして、コンバージョン数とビュースルーコンバージョン数によって、広告ごとに詳細な評価をおこなってください。広告の直接効果と間接効果を全体的に評価できます。

指標の1つとして、Facebook広告にリソースを注ぐべきかどうかなどの判断が可能です。

確認方法

Meta広告では、広告マネージャーを利用してキャンペーンのパフォーマンスを分析し、ビュースルーコンバージョン数の確認が可能です。

Facebookでは「ビューアトリビューション」と呼ばれます。

  • 広告マネージャで「列:カスタム」をクリック
  • 「アトリビューション設定を比較」をクリック
  • 表示画面の「ビュー」「クリック」の期間を選択
  • ビューアトリビューションが表示される

ここでは、広告の間接的な影響を具体的に捉え、戦略の調整に役立てられます。

Twitter広告

Twitter広告では、ビュースルーコンバージョンの測定する期間を、イベントコード作成時に設定できます。

別経由のコンバージョンを計測しない場合は、設定をオフにしておくことで、より正確に測定をおこなうことが可能です。

自社でこれからビュースルーコンバージョン測定する場合は、下記の手順に従って設定をおここなっていきましょう。

設定方法

Twitter広告では、広告キャンペーン設定時にビュースルーコンバージョン追跡を有効にすることが可能です。Twitter広告では、ポストアトリビューションと呼ばれています。

  1. 管理画面の「ツール」をクリック
  2. 「イベントマネージャー」をクリック
  3. CVイベントの選択後、「ポストアトリビューション期間」の日数を選択

これにより、Twitter上での広告表示とコンバージョンの関係を追跡し分析することが可能となります。

確認方法

Twitter広告ダッシュボードを通じて、キャンペーンのパフォーマンスレポートを確認し、ビュースルーコンバージョン数を把握できます。

  1. 管理画面の「データ:その他」をクリック
  2. 「データをカスタマイズ」をクリック
  3. 「ポストビュー」の記載がある項目で、確認したい指標を選択

これは、Twitter広告の効果を評価し、最適化のための洞察を得るのに役立ちます。

ビュースルーコンバージョン設定時の注意点

ビュースルーコンバージョンを計測すると、条件などによって効果測定の結果が変動するケースもあります。

なぜなら、同じ広告を複数のWebサイトで目にした結果、あるWebサイトで気になってクリックした場合には、ビュースルーコンバージョン・クリックスルーコンバージョンの両方が発生してしまうからです。

しかし、データ上ではクリックスルーコンバージョンと分析され、クリックのきっかけになった広告の表示は評価されない、という問題が生じるでしょう。

ビュースルーコンバージョン設定時における2つの注意点を解説します。

計測期間は「1日」で設定する

ビュースルーコンバージョンの計測期間は、短く設定することが推奨されています。あくまでユーザーが広告で見かけた商品を認識して、最終的にコンバージョンへつながったという前提にあるためです。

広告を見たユーザーが1日後に商品を購入する場合と比べ、30日後に商品を思い出して購入に至る可能性は低くなると考えられるでしょう。

そのため、1日という短い期間で設定することで、広告が表示された直後の影響をより正確に捉えられます。

計測期間を長く設定することで、コンバージョンの数を多く集められますが、最初の広告視聴とコンバージョンの因果関係が薄くなっていくため、1日程度の短い期間で設定することが大切です。

ただし、住宅や自動車といった高額で検討期間の長い商材の場合など、計測期間を長めに設定したほうが適切な場合もあります。

自社の商材の特性に合わせて、計測期間を正しく設定することが重要です。

CVカウントの分散や重複に注意する

ビュースルーコンバージョンの計測では、データの正確性が担保できなくなる場合があるので要注意です。

ビュースルーコンバージョンの特性上、データの分散や重複が起きる場合があるためです。

たとえば、ユーザーがサイトAとサイトBを訪問し、同じ広告を見てサイトBの広告でコンバージョンしたとします。その場合、1つのコンバージョンにおいて、ビュースルーコンバージョン、クリックスルーコンバージョンは1件ずつの計2件が計上されるべきですが、広告Bのみのクリックスルーコンバージョン1件として計上されます。

また、広告Aを見たあとにオーガニック経由でコンバージョンした場合も同様で、ビュースルーコンバージョン1件、SEO経由でのコンバージョンが1件の計2件計測されるため、各担当者間での認識をそろえないと1件のコンバージョンで2件のコンバージョンを計上してしまう可能性もあります。

こういった事態を防ぐためにも、計測ツールの統一化を図り、データの分散や重複を最低限に抑えていくことも重要です。

まとめ

近年、多様化するユーザーの行動に対して、多角的な視点から広告効果の分析をおこなうことは、広告プロモーション施策の実施において重要です。

ビュースルーコンバージョンは、オンライン広告の効果をより包括的に把握するために重要な指標となります。この指標を正確に測定するためには、計測期間を短期間に設定し、コンバージョンの重複カウントに注意が必要です

これにより、広告が顧客の購買行動に及ぼす直接的な影響だけでなく、間接的な影響も正確に捉えられます。適切なビュースルーコンバージョンの設定と分析を通じて、効果的な広告戦略を策定し、広告投資のROIを最大化することに期待が持てるでしょう。

この記事でご紹介した内容を参考にして、ビュースルーコンバージョンを活用し、精度の高い広告運用につなげてください。

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この記事を書いた人

「必要な人に、必要な情報を、適切なタイミングでお届けする」を合言葉に皆様に良いと思って頂けるデジタルマーケティングに関する情報を発信しております。