「リスティング広告の運用方法のコツが知りたい」「リスティング広告の成果が落ちた場合、どのような対処をすれば良いのか分からない」といったお悩みを抱える企業は少なくないでしょう。
リスティング広告の運用を担当しているものの、思うような成果を出せずに悩んでいる…という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、リスティング広告運用のコツについて詳しく解説した上で、具体的に何をすべきか、成果が落ちた場合どのように対処すべきかをお伝えしていきます。
この記事を読むことで、リスティング広告運用のコツが分かるだけでなく、自分で運用・改善でき、さらには成果を出せるようになるでしょう。ぜひ最後までご一読ください。
- リスティング広告で成果を出すコツ
- リスティング広告で成果を出す具体的施策
リスティング広告の運用で押さえておきたい3つのコツ
リスティング広告を運用して成果を最大化させるためには、押さえておくべきコツがあります。ポイントを押さえておくことで、リスティング広告の運用を最適化できるでしょう。
以下は、リスティング広告の運用において、とくに押さえておきたいポイントです。
- アカウント構成を最適化する
- 入札戦略・予算管理を最適化する
- 改善すべきKPIに絞って改善する
それぞれの運用のコツについて、具体的に解説していきます。
1.アカウント構成を最適化する
リスティング広告の運用で最も重要なのが、アカウント構成を最適化することです。
アカウント構成を目的や状況に合わせることで、狙ったユーザーに対して広告を配信できるようになります。その結果、コンバージョン率アップなどより良い成果に期待できるでしょう。
Googleが推奨しているアカウント構造は「hagakure」と呼ばれており、これはリスティング広告のアカウントを「できる限りシンプルに設計する」という考え方です。
1つの広告グループ内に複数のキーワードをまとめて設定し、1つのリンク先URLを訴求することが理想とされています。
その結果、IMPを集約させ、広告ランクの評価を上げやすくなるでしょう。IMPが集まるとデータを集めやすいので、機械学習が進み、自動化を最適化することも可能です。さらに、シンプルであるがために運用工数を減らし、PDCAサイクルを早める効果もあります。
そのためYahoo!広告でも、hagakureの考え方と同様、シンプルなアカウント構造を推奨しています。
リスティング広告の運用では、アカウント構成が最も重要です。アカウント構成を最適化することで、広告運用の成果を効果的に高められます。
2.入札戦略・予算管理を最適化する
リスティング広告の運用においては、目標に合わせた入札戦略も重要です。
自動入札機能をうまく活用できれば、入札単価を設定する際にかかる手間が省け、広告運用の成果をより上げる土台作りができるでしょう。
同時に、予算管理の最適化も欠かせません。予算管理ができていない場合には、配信面における損失も十分に考えられるでしょう。
リスティング広告における重要な入札戦略の1つに、「VBB」という方法があります。VBBとは「Value Based Bidding」の略で、直訳すると「価値に基づく入札戦略」という意味です。
コンバージョンにより価値が異なるビジネスに対し、それぞれの価値に合わせて入札をおこないます。
ビジネスにもたらす価値(tROAS)に基づいた入札戦略を立てていくことで、効率よく成果を追い求められるのです。
たとえば、広告費を10,000円、CPAを10,000円とした場合に、商品Aの単価が5,000円だとすると、tROASは50%となります。
一方、広告費、CPAが同条件である商品Bの単価が30,000円の場合、同じ1CVでtROASは300%です。
このようなビジネスにどのくらいの価値をもたらすかを予測し、最適な入札戦略を実行していくことが重要です。
3.改善すべきKPIに絞って改善する
自社の目的に合わせ、向上させたいKPIに優先順位をつけて改善することが重要です。
KPIが明確になっていなければ、組織やリスティング担当者がどこを目標にすべきか、迷いが生じてしまいます。
KPI(Key Performance Indicators)とは「重要業績評価指標」のことで、組織が目標を達成するために必要な行動を評価する中間指標です。
たとえば、KPIに「コンバージョン率の最適化」を設定したとします。
その場合、クリック率からの実際の行動(購入・登録)を増やすことを目標とし、LPの最適化・分かりやすいCTAの設定・A/Bテストの実施といった対策を講じられるようになるでしょう。
まずは、自社の目的・目標を明確にし、向上させたいKPIに優先順位をつけて改善するようにしましょう。
リスティング広告で成果を出すために6つのやるべきこと
リスティング広告で成果を出すためには、コツを知るだけでは難しい部分もあるかもしれません。
ここでは、リスティング広告運用の成果を出していくために具体的にやるべきことを解説します。
- CV見込みの高いキーワードを優先して狙っていく
- マッチタイプを適切に運用する
- CVしないKWは除外キーワード登録する
- 品質スコアを改善する
- 自動入札を適切に活用できる状態を作る
- 予算の上限を少なくしすぎない
それぞれの項目について詳しく解説しますので、参考にしてください。
1.CV見込みの高いキーワードを優先して狙っていく
検索数が少なく、高いCV率が見込めるキーワードをリサーチし、優先的に狙っていきます。
検索数が少ないキーワードは入札数も少ないため、CPC(クリック単価)も低くなり、広告費用を抑えることが可能です。
最初から検索数の多いキーワードを狙いすぎると、広告配信できる範囲は広くなるものの、競合相手も多いため入札数も多くなり、クリック単価も高くなってしまいます。
具体的には、「リスティング広告」というビッグキーワードを狙うのではなく、「リスティング広告 費用 個人」「リスティング広告 クリック率 平均」というキーワードを優先して狙っていくイメージです。
成果を出すためには、検索数は少ないもののCV率は高い「お宝キーワード」に注力していくことで、CPCが安定し、広告効果を最大化できます。
2.マッチタイプを適切に運用する
マッチタイプの役割を理解し、適切に活用することも大切です。
マッチタイプの設定を間違えると、インプレッションの損失や、ムダなクリック数だけを増やしCVできない状態につながってしまいます。
マッチタイプは、以下の3種類から選択可能です。
完全一致 | 指定したキーワードと同じ意味または意図の検索語句を広告に表示する |
フレーズ一致 | キーワードと同じ意味を持つ検索語句に対して広告を表示する |
部分一致 | 関連キーワードや類義語など幅広く広告が表示される |
完全一致 < フレーズ一致 < 部分一致 となるにつれて、一致率が下がると同時に対象範囲が広まります。
完全一致ではターゲットを絞りすぎて広告表示が限定的になったり、逆に部分一致ではターゲットと関係ないユーザーにも配信される可能性があります。
そのような点も加味した上で、マッチタイプを設定し広告運用していく必要があります。
参考:キーワードのマッチタイプについて|Google 広告 ヘルプ
3.CVしないKWは除外キーワード登録する
CVしないKWに広告を配信しても、意味がありません。CVしないKWは除外キーワードとして登録し、ムダなクリック数を減らすことが大事です。
除外キーワードを設定することで特定の検索語句を表示対象から外せるため、より関心のあるユーザーに広告を届けられます。
除外キーワードを選択する際の対象は、以下のようなものです。
- キーワードとして設定する語句と類似しているもの
- 別の商品を検索しているのに広告表示されてしまったもの
たとえばキャップ(帽子)を販売している場合、「スイミングキャップ」「ナイトキャップ」といった語句を除外キーワードとして登録するイメージです。
CVしない除外キーワードを登録することで、ターゲットとしていないユーザーに広告が届きにくくなるだけでなく、広告費の出費を抑える効果もあります。
4.品質スコアを改善する
品質スコアを改善していくことも、リスティング広告の成果向上につながります。
品質スコアは、Google広告の掲載順位を決めるオークションの評価対象には入らないものの、広告ランクを上げるための大事な指標となるためです。Yahoo!インデックスでは、「品質インデックス」と呼ばれています。
品質スコアは、以下3つの要素から総合的に算出されるのが一般的です。
- CTR(推定クリック率)
- 広告の関連性
- ランディングページの利便性
品質スコアはキーワードごとに1〜10の10段階で評価されます。スコアが高いほど良しとされており、5〜7が適正値です。
広告の掲載順位を上げるためには、クリック単価の上限や広告ランクを上げる必要があるため、品質スコアのみに注力するのは望ましくありません。
しかし、品質スコアを改善していくことは、広告ランクを上げることにもつながるため、改善すれば十分効果が見込める指標となります。
5.自動入札を適切に活用できる状態を作る
広告運用が軌道に乗ってきたら、少しでも早く自動入札を適切に活用できる状態を作りましょう。
手動入札はキーワードごとの入札単価を自ら調整しなければならないのに対し、自動入札は自動的に最適な入札をしてくれるため、効率の良い広告運用ができます。
入札戦略 | 目的 |
---|---|
クリック数の最大化 | サイト流入を増やす |
目標インプレッション シェア | 認知度を高める |
目標コンバージョン単価(CPA) | 目標CPAでコンバージョンを増やす |
目標広告費用対効果(ROAS) | 費用対効果の最大化 |
コンバージョン数の最大化 | 設定した予算すべてを使ってコンバージョン数を増やす |
コンバージョン値の最大化 | 設定した予算すべてを使ってコンバージョン値を増やす |
最初は手動で入札単価を調整しながら、早期に広告運用を軌道に乗せ、自動入札に切り替えましょう。
6.予算の上限を少なくしすぎない
広告出稿の予算上限を少なくしすぎないようにすることも重要です。
1日の予算上限にちかづくと、Google側から広告表示の調整がされてしまいます。その結果、インプレッションで損をしてしまう可能性があるのです。
たとえば、入札単価100円、1日の予算が10,000円としましょう。
仮に入札単価を200円に引き上げた場合、広告の表示機会が増えます。その場合、できる限り多くのインプレッションを獲得するためには、予算を増やさなければなりません。予算が少ないままでは、機会損失につながってしまいます。
予算による制限がかかってしまった場合は、予算を上げてクリック数を増やすか、入札単価を引き下げて予算の範囲内で広告運用をするか、の選択が必要です。
このように、クリック数の獲得数が減少する可能性が高くなるため、予算の上限は少なくしすぎないように気をつけましょう。
リスティング広告の成果が下落したときに見落としがちなポイント
リスティング広告で成果を出すためには具体的に何をやっていくべきか、イメージできてきましたでしょうか。
次に、リスティング広告の成果が落ちたときに対応すべきポイントについて解説していきます。
- アカウントの変更履歴を確認する
- 自動入札から手動に戻す
- LPを確認する
- 外部要因を確認する
成果が落ちてきて「どうにか軌道修正しよう」と試みる中で見落としがちなポイントを解説しますので、まだ試していないことがあれば、ぜひ取り組んでみてください。
1.アカウントの変更履歴を確認する
リスティング広告の運用において、成果が下落したときに見るべきポイントは、直近のアカウントの変更履歴を確認することです。
変更履歴を確認することで、広告の設定やキーワード変更・予算調整などを把握できます。
アカウントの変更履歴は、Google広告の管理画面で「キャンペーン」アイコンにカーソルを合わせ「変更履歴」をクリックすることで確認可能です。
もしアカウントに変更があれば、変更した箇所と成果下落の因果関係が成立するかを考え、問題点が見つからなければ別の要因を考える必要があります。
アカウントの変更履歴は、リスティング広告運用の重要な情報源であるため、問題発生が起きた場合には都度確認するようにしましょう。
2.自動入札から手動に戻す
自動入札機能の利用は便利ですが、成果が下落したときには手動入札に切り替えましょう。
前述したように、自動入札は、目標を達成するためのクリック率やコンバージョンに基づいて広告の入札単価が設定されます。
自動入札の場合、現実的な目標を設定していなければすぐに予算を使い切ってしまうこともあり、配信が停止されるなど、目標達成のマイナス効果となってしまうことも考えられるのです。
自動入札から手動入札に切り替える際には、競合他社の入札状況や広告の表示順位をしっかりと把握しましょう。
自動入札で得られたデータを活用し、手動入札の入札額を設定することも効果的です。
自動入札から手動入札に戻すには手間がかかりますが、競争力のある広告を効果的に配信でき、さらには入札額や広告運用の改善に取り組めます。
3.LPを確認する
LPを確認することも、リスティング広告で成果を出すために押さえておくべきポイントの1つです。
LPとは広告をクリックしたユーザーが最初に閲覧するページのことであり、申し込みや資料請求といったユーザーの行動やコンバージョンなど成果に直結します。
ただし、LPは重要である反面、盲点となることも多く、十分な注意が必要です。
たとえば、以下のような観点でLPをチェックしてみることをおすすめします。
- デザインやレイアウトが崩れていないか
- 表示速度が遅くないか
- ユーザーが求める商品の特徴や情報が伝えられているか
LPはリスティング広告の成果に直結するページであるため、仮にユーザーが満足するクオリティでなければ、離脱される可能性も大いにあります。
広告運用で成果を上げていくには、LPの内容とクオリティを常に確認し、改善していくことも非常に重要なのです。
4.外部要因を確認する
成果が下落した理由として、外部要因を確認することも大切です。
CPM/CPC/CTRなど広告コストの指標に大きな変化があれば、外部要因が影響している可能性が否定できません。
たとえば、特定の季節やイベントがちかづくと関連商品の広告需要が急増し、クリック単価やクリック率が変動する可能性があります。
これは想定外の外部要因であるため、広告主はイベントやキャンペーンの期間中に対応して調整をおこなわなければなりません。
広告コストのグループであるCPM/CPC/CTRなどの指標に大きな変化が見られた場合は、外部要因の影響がないかを確認しましょう。
外部の状況変化に対応することで、効果的なリスティング広告運用が可能となります。
リスティング広告は商材との相性も大事
リスティング広告は、商品やサービスとの相性も非常に重要です。
とくに、以下のものとは相性が悪く効果も薄いため、広告を配信するか慎重に検討する必要があります。
- 粗利率が低いもの
- 客単価が低いもの
- リピート購買が見込めないもの
たとえば、消しゴムや鉛筆など単価数十円の文房具は、客単価が低く、粗利率も見込めません。
これらはリスティング広告との相性が悪く、効果も薄いため、そもそも広告を配信する必要性がないと判断できます。
リスティング広告はクリック課金型のため、自由に出稿金額を設定できるメリットがある一方、商材によっては相性が悪い場合もあるのです。
広告運用する前に商材の特性を理解し、ほかのマーケティング手法を検討することも大切です。
まとめ
リスティング広告運用のコツとしては、アカウント構成や入札戦略を最適化することが重要です。
アカウント構成を目的や状況に合わせることで、ターゲットに対して広告を配信できるようになり、コンバージョン率アップなど、より良い成果が期待できるでしょう。
また、入札戦略や予算の管理を最適化することで、運用効率をさらにアップさせるだけでなく、運用コストのムダを省くことにもつながります。
加えて、改善すべきKPIに絞って対策していくことも大切です。
リスティング広告で成果を出すためにはいくつかのポイントがありますが、何よりも常にリスティング広告の動向をしっかりと把握しておくことは欠かせません。
また、商材との相性にも注意が必要です。
本記事が、効率的かつ効果的なリスティング広告運用を進めるための一助となれば幸いです。